Smokyさんの映画レビュー・感想・評価

Smoky

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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.2

『ジョン・ウィック』が確立したアクションゲーム的映画感覚を、北欧戦争版にし、タランティーノ風味を加えて映像化した作品。ラストの爆弾投下は『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

3.6

ありがちな物語ながら、役者たちの演技力と、西川監督らしい演出力で引き込む秀作。登場人物の殆どが「根は良い人」だけに世の中の不条理さが浮き彫りになるし、ラストの洗濯物を取り込むシーンの描写は絶妙。主人公>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.1

ステレオタイプにリアルを見出そうとするバ◯、良心的であろうとするが本質的には何も分かっていないお花畑、ポリコレを掲げることで免罪符を得ようとするリベラル…。本来、差別問題とは、差別する側の問題でしかな>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

ウェス・アンダーソンの映画の素晴らしいところは、①ポップな映像美、②豪華絢爛な出演陣、③人間&芸術への愛という三つの要素が高次元で融合されていること。もちろん、どれか一つを楽しむのもOK。…で今作では>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

3.8

誰も見たこのない映像美でアクション映画を新しい次元に引き上げた『マトリックス』の公開が25年前。15年後にこの映画でキアヌのスタントマンをやっていたチャド・スタエルスキが監督となり自ら培ったスタント美>>続きを読む

ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.8

名優フランシス・マクドーマンドが惚れ込み、監督のクロエ・ジャオと一緒に2021年のアカデミー賞三冠を獲得した『ノマドランド』を創るきっかけとなった2017年の映画。生きることの難しさとだからこその美し>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.2

全編ほぼずっと逃げ回ってるか探してる回ってる、古き良き「冒険活劇」。15年前の前作があまりにも酷過ぎる出来で、あのまま終わらせたくなかった人たちが自分以外にもやっぱり居たんだなと思った。しかし、150>>続きを読む

終わらない週末(2023年製作の映画)

3.9

大好きなドラマ『MR. ROBOT』のクリエイターによる作品。彼らしいリアリティとカオスとニヒリズムとブラックジョークに溢れた良作。
 
週末じゃなくて終末。こういう事態があるから好きなドラマは配信じ
>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

普段、無意識・無自覚に働かせている通念や常識といったものが根底から揺さぶられる力作。音楽に関わる人間模様やハラスメントを描いていることから『セッション』と比較する声もあるけれど、あれは共依存の関係を描>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

3.2

子供目線で描いた戦争。悪夢版『ジョジョ・ラビット』というか、旧ソ連の名作『炎628』を彷彿とさせるが、必要以上に直接的な描写のオムニバス構成や、多数の有名俳優の起用、映画祭での途中退出者続出…という宣>>続きを読む

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

4.2

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を観るくらいなら、こっちを観るべき。

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.3

信頼のPLAN Bと鬼才デヴィッド・フィンチャーとの組み合わせ。往年の名作犯罪映画のような雰囲気を漂わせながら始まり(WeWorkの空き部屋w)、無駄を削ぎ落としつつも緩急をつけたプロット、パリ→ドミ>>続きを読む

いつかはマイ・ベイビー(2019年製作の映画)

3.7

物語自体はありがちなラブコメ。なので、アジア系でやろうが、ラテン系でやろうが、黒人でやろうが、白人でやろうが新鮮味はない。従って、このテの映画の良し悪しはディテールで決まるが、その点において本作はかな>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

3.5

いわゆる「ジャズ・エイジ」と呼ばれた1920年代の米国の映画業界を再現した煌びやかで退廃的で悪趣味な映像や、高密度の情報量とスピーディーな物語展開や、俳優陣の熱演(特にマーゴット・ロビー!)などによっ>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

3.9

ありがちな「偉業を振り返る系」ではなく、クリエイティビティやアーティストとしての姿勢みたいなものを、生前の彼の言葉(モノローグ&インタビュー)と音楽(ライヴ・フッテージ多し)だけで紡ぎ出した良作ドキュ>>続きを読む

国家が破産する日(2018年製作の映画)

3.8

1997年の韓国通貨危機を描いた群像劇であり、韓国版『マネー・ショート』。トリガーは様々だけど、いわゆるバブルが弾けて経済危機が起きるメカニズムは歴史や国は違っても全く同じ。大抵の人は分かっていながら>>続きを読む

イヤー・オブ・ザ・ドラゴン(1985年製作の映画)

3.5

超久々に観たけど、こんな映画だったっけ?
 
『天国の門』の興行的失敗により映画会社を倒産させた廉で5年も干されていたマイケル・チミノ監督の怨念、脚本家として跳ぶ鳥を落とす勢いのオリバー・ストーンの米
>>続きを読む

カラーズ 天使の消えた街(1988年製作の映画)

3.6

この映画が公開されたのが、LA暴動の4年前、N.W.Aが名盤『STRAIGHT OUTTA COMPTON』をリリースした年(本作の主題歌はICE-T!)ということが、本作の先見性を象徴している。ロサ>>続きを読む

ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.7

まず、タイトルが良い。『ガンパウダー・ミルクシェイク』。ミッシェルガン・エレファントの曲みたいでかっこいい。
 
ストーリーは至ってシンプル。『レオン』『ベイビー・ドライバー』『ジョン・ウィック』『キ
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レプタイル -蜥蜴-(2023年製作の映画)

3.2

誰もが怪しく見えてくる不吉で曖昧な映像。中盤までは良かったが、後半から凡庸な米国警官汚職モノに成り下がってしまうのが残念。特に、全ての伏線を最後の15分で無理矢理片付けてしまう荒っぽさ。ベニシオ・デル>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.9

『マトリックス』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ただし、前後ではなく水平移動)『2001年宇宙の旅』と『グリーン・ディスティニー』『花様年華』など、その他いろんな映画の要素や映像が混ぜ合わされた、>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.8

面白かった。まさに「take care」ですね(『パルプ・フィクション』好きなら分かるネタ)。

キングメーカー 大統領を作った男(2021年製作の映画)

4.2

金大中元大統領と、彼の選挙参謀だった厳昌録をモデルにしたフィクション。何のために勝つかという理想も大切だけど、一方で、勝たなければ理想を実現できないのが政治の世界。ましてや、軍事政権による独裁の時代な>>続きを読む

甘い人生(2005年製作の映画)

2.5

イ・ビョンホン様のプロモーションフィルムとしての評価なら4.0点、映画としての評価は1.0点。合算するとタイトルとは裏腹に甘くない評価になる。
 
冒頭の「風に揺れる柳の話」も含めて、裏社会で生きる者
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.6

コロナ禍の巣籠もり期間中に韓国ドラマにハマった是枝監督が、好きな韓国人キャストを使って創った一本は、韓国映画にも関わらず、どこをどう切っても是枝印な映画…という不思議な感覚。やっぱり、イ・ジウンの演技>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

ハンナ・アーレントの言葉にもあるように、巨悪は一人のク◯野郎だけでなく、思考や判断を停止し外的規範に盲従した人々(凡庸な悪人)によって支えられている。そして、本作が描いた社会問題には、自分も何気ない言>>続きを読む

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

4.0

名匠サム・メンデス版『ニュー・シネマ・パラダイス』。人生は、楽しさや幸せを分かち合える人と素敵な映画と音楽があれば素晴らしいものになる。人はそれらと出会い、変化し、生まれ変わる。年齢は関係なく何度でも>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

ある程度の数の映画を観ていると「その良さを上手く伝えられない強烈な名作」に出会うことがある。本作がまさにそれ。監督の前作『スリー・ビルボード』もそうだった。
 
拗らせた中年二人の大人げない争いが次第
>>続きを読む

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)

3.7

ジェシカ・チャスティンが物語に惚れ込み、映画化権購入〜プロデュース〜主演をこなした映画。トレードマークの赤い口紅を封印するどころか、顔の輪郭や体型を変える特殊メイクと、ドラァグクイーンのような化粧によ>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.7

レイチェル・カーソンを彷彿とさせる、アン・ハサウェイやシャルロット・ゲンズブールによく似た女性が主人公の『きみに読む物語』meets『真実の行方』な物語。原作は未読だけど、映画化に際しては「浅薄なヒュ>>続きを読む

恋愛小説家(1997年製作の映画)

4.0

90年代〜00年代は、ビリー・ワイルダー直系の都市型ラブコメの名作が多い。『ユー・ガット・メール』『あなたが寝てる間に』『恋のためたい フランキー&ジョニー』『ハート・オブ・ウーマン』『10日間で男を>>続きを読む

AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

年商350億ドル、時価総額1680億ドル、世界で最も価値のあるアパレルブランドとなったNIKE躍進の立役者は、間違いなくエア・ジョーダン。部門売上は年50億ドル。本作のラストでも描かれた、25万ドルの>>続きを読む

ドーナツキング(2020年製作の映画)

3.8

エイジアン・アメリカン・ドリーム・ウィズ・ドーナツの物語であり、同時に、カンボジア難民の生活史でもある。
 
どんな大規模チェーン店でも、タダ同然の人件費を背景にした家族経営店には勝てない。そうやって
>>続きを読む

フューリー(2014年製作の映画)

3.4

戦車搭乗員たちの人間ドラマ。物語の基本的な建て付けは『プライベートライアン』のそれ(ノルマンディ上陸作戦後の欧州戦線だから尚更)だけど、スピルバーグとは異なり、第三帝国、連合国どちらにも肩入れない比較>>続きを読む

ザ・マザー: 母という名の暗殺者(2023年製作の映画)

3.1

どれだけ雑な作りであろうと、どれだけ伏線回収が中途半端であろうと、どれだけジョセフ・ファインズやガエル・ガルシア・ベルナルやポール・レイシーといった名優たちが無駄遣いされようと、J.LO様だけは正義で>>続きを読む

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