にしやん

ROMA/ローマのにしやんのレビュー・感想・評価

ROMA/ローマ(2018年製作の映画)
4.0
うわー凄かったわ。色んな意味で。
調べてみると、監督の自伝的作品らしいわ。監督はメキシコシティ出身やし、年齢を逆算したらちょうど自分の子供の頃の話やもんな。
70年代のメキシコシティの社会、街の雰囲気、空気感がとてもリアルに描かれてるわ。階級社会も中々激しい感じや。金持ちそうっちゅうても多分中産階級の一家が白人で、その家の家政婦はメキシコ人や。その差は何か歴然としてるんが観てるもんにもヒシヒシ伝わってくる。それでもこの映画のええとこは、白人、メキシコ人の階級差があったとしても、この家の家族はみんな(亭主以外)メキシコ人家政婦のクレオが大好きやっちゅうことや。当然人種もちゃうし、血は繋がってへんけど、心がつながっててっていくことで、ほんまの家族みたいになっていくねん。この映画のポスター見てみいや。もうみんな団子みたいに抱き合ってるがな。どのシーンかは、映画観た人等には一目瞭然やろけど。
とにかくこの映画は映像がめちゃめちゃきれいやわ。
全編モノクロやけど、どこもかしこもきれい過ぎる。解像感があるのに、どこか柔らかい。それに白と黒とのコントラストの塩梅も完璧やわ。
カメラは基本1台。あまり動き回らずにじっくりと、それも長回し。BGMも全くなし。街の雑踏がそのまま聞こえてくる。
冒頭で車のガレージの床(最初はなんか分からんかった)をほぼ真上から垂直に映してて、水が流れてきた瞬間に反射で空と飛行機が映りこむとこなんかはハッとしたわ。中々の演出や。飛行機はその後のシーンでもさんざん出てくるねんけど、これがほんま気になって気になってやわ。
あと、面白かったんんわ、亭主と奥さんの運転の違いやわ。亭主は緻密に丁寧に車庫入れすんねんけど、なんかイラついてるんが伝わってくるわ。
片や奥さんのほうは滅茶苦茶。車庫入れこすりまくりやし、運転中も強引っちゅうか車ボコボコやしな。このあたりは夫婦の内面を象徴してるような気いしたわ。
主人公の家政婦のクレオも凄いぞ。まず感情を一切見せへん。何あっても
やで。武術のヘンテコリンなポーズのシーンでも、この女性ただものではないなと思たわ。とにかく忍耐力が凄過ぎる。ほんまの強さってこういうことなんやろな。
でもな、色んな意味で我慢に我慢を重ねたその最後に一言だけポロっとな。これがめっちゃよかった。またな、それを受けての奥さんの一言がそれにも増してよかったわ。
その他にも、白人とメキシコ人の階級差、格差の問題は元より、女性の自立の問題、はたまた銃規制の問題までテーマはつきへんな。
それでも、犬一匹の割にう○こしすぎとか、武術のカス男のふ○ちんなんかはほんのご愛嬌。まじで、もう、わしこの映画についてしゃべり出したら止まらんようなるわ!
それりゃ、「万引き何某」なんか、これには一生勝たれへんで。ほんま敵わんわ!参った、参った。
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