心の奥底で大きな闇を抱えている。
他人には理解できない深いものだ。
だからこそ依存し合い、堕ちていく。
父を失い、生きる気力を無くした少年。
真っ暗闇の中をひたすらに歩き続け
周囲から恐れられている青年。
その少年に愛された少女、
その青年に愛された妹。
この3つの運命が交じり合った時、
闇夜を覆い尽くす嵐が町を襲う。
煌びやかで刺激的な一夏を
彼らは生きて、生きて、分かち合った。
嵐の中で少年は町を去った。
罪悪感か、虚しさか、寂しさか。
青年の最期は、優しさか、拒絶か。
彼女が流す涙の理由を、
彼女が涙を流すことさえ
その町の若者は知らない。
ひと夏の甘い破滅の記憶は、
彼らの人生に何を遺しただろう。