健聴者とろう者の境界、
そして社会との隔たりのなかで生まれた
彼女の心の叫び、家族の叫びに
とても胸が痛くなります。
家族には聴こえていない音楽、歌を通して
その響きで、想いを伝えようとする主人公と
それを解ろうと努力する家族の姿を
涙無しでは観られません。
人間の殆どが主としている言葉というツールの拙さを知りました。心は複雑で、言葉では表現できないことばかり。手話という身体表現を知らないうちに“わからないもの”だと捉えてしまっているから理解できないのだ。自分と違うことを“異質なもの”として認識して遠ざけることは、他者理解を怠っているということだ。
手話との身体表現は言葉という口語表現では言い表せない豊かな部分を表現する力を持っているとこの作品を鑑賞して感じた。主人公は歌と手話の身体表現、そして口語表現を巧みに交え、世界に想いを叫ぶことができるから、多くの人々の心を救う歌手になるに違いありません。