コーディー

ラストレターのコーディーのレビュー・感想・評価

ラストレター(2020年製作の映画)
4.1
いや〜岩井俊二でしたね〜吸い込まれましたね〜超好きです!

残したい残りたいという手紙に載せる想い、あの頃込み上げた切実な感情は時を経て薄らいでも尚褪せず心の内に留まる。思い描いた再会でなくても〝僕〟と〝君〟が関わり合えたという時間も生死も凌駕する愛、そして人生における奇遇を辛辣に切り取った甘く辛い渾身の岩井美学!

埋められない余白背負ったまま、まるで自分の虚構に囚われてるような鏡史郎がモヤのかかった世界から抜けようと恐る恐る手紙のやり取りをする相手。決して優しくはない現実に光を灯す錯綜や巡り合わせに言葉にならない感情が湧き上がってきて中盤からずっと息が苦しかった。鼻息も荒かったはずw
そしてこれ以上ない答えへの着地もお見事でした。

どうしても余白の部分はモヤモヤするけど関われなかった人間から見た遠さ、独り善がりな虚構なんかでは縮めようのない距離が残酷だったな〜少し過剰な気もするけどw
まあこれまた想像及ばぬところで関わりを生む手紙の侮れない可能性が際立ってだけどね。
にしても福山雅治の萎れた演技良かったな〜

手紙だけでなく映像やそこ彼処に人の想いが宿ってて御伽話のように仕切り直しの効かない現実をそれでも甘美な世界として描こうとする岩井俊二の視点に今回もやられた。2役演じる広瀬すずと森七菜も漂ってるようで誰よりも物語を導いてて魅了される。
個人的には〝秒速5センチメートル〟とは似て非なる完全上位互換やと思ってますw

まあ確かに見方によっては気持ち悪い部分もあるけどw弱さや不細工さを包み隠さず、間違えて間違えて何とか拠り所見つけて歩む!みたいな惑う人間の愛おしさは今回も健在で安心した。