よし

永遠の門 ゴッホの見た未来のよしのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画で何よりも自分が受け付けなかったのは絵でした。特に冒頭に描いていた靴の絵は 『ポップアートかよ!?』と心の中で突っ込んでしまいました。
あの靴って自分自身の投影だと思うんですが、あんなに色彩豊かに描ける人だったら病んでないよ。

だからゴッホに見えないし、期待していた『ウィレム・デフォーのゴッホ』ではなくて、『ゴッホっぽい絵を描いてるおじさん(精神病患者)』を観ることになる映画です。

あと、散々まわりに迷惑をかけまくっておいて、都合の悪いことは全部『覚えてない』とかありえん。しかもそういうシーンはわざと見せない。
偉人の伝記って殊更その人が善人であったかのように描きがちですけど、この映画も漏れなく『ゴッホは悪くないんだよ!仕方なかったんだ。むしろ、理解しないまわりが悪い』と主張する映画でした。
私はゴッホの絵は好きですが、彼は善人ではないと思います。

事実では勉強に付いていけずに牧師になることを諦めたゴッホが、牧師に『僕はキリストと同じなんだ』と説教するシーンはこっけいだし、最後に他殺説を持ってくるとか、こざかしく感じてしまいます。牧師を目指すくらいのキリスト教徒が自殺だと体裁が良くないから他殺の方が彼らには良いんでしょう。

何かもう、全体的に嫌いすぎて、この映画は合わなかったです。

ゴッホが人気が出たのは、ゴッホの作品そのものの評価だけではなく彼のセンセーショナルな生き方も加味されている。私たちは芸術作品を見つつ、その作品が出来た背景も見て『寂しそうだな』とか『嬉しそうだな』とか感じている。
だからこうした芸術家の映画は、今後その芸術家の作品に触れる人々の作品への評価にも影響を与えるということをもっと考えてほしい。
よし

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