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モンスターズ 悪魔の復讐のフライのレビュー・感想・評価

モンスターズ 悪魔の復讐(2018年製作の映画)
3.6
アメリカで19世紀末実際に起きた未解決殺人事件をモチーフに作られた作品は、この時代故の悲劇としか思えない悲しいサスペンス映画。

1892年アメリカのマサチューセッツ州の名士ボーデン家で起きた夫婦惨殺事件を描いた作品は、未解決とは言え次女リジーが何故殺人を行ったかを、色々ないきさつを含め描いたストーリー。残酷な描写はあるが、狂気より寧ろ彼女や女性の置かれた悲惨な境遇に、悲しさと同情すら感じてしまう作品だった。

リジーの境遇は、現在であれば普通に思えるし理解出来るのだが、女性である事や、色々な要素が重なり、追いつめられて行く重い内容と悲劇に、観ていてとても辛かった。

昔の未解決事件なので、かなりの部分は演出だろうが、時代背景含めこの頃の人物描写も納得出来るし、とても興味深く鑑賞できた。何よりリジーを演じたクロエ・セヴィニーと、本作での重要な役であるメイドのブリジットを演じたクリステン・スチュワートとの微妙な関係性を見せ、体を張った演技は圧巻だった。

本作はホラーや残忍さ、狂気に満ちた作品ではなく、19世紀末の女性の悲劇を描いた重い内容なので、パケ画、タイトルなどで判断して観ると失敗するので注意。
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