フライ

スターマン/愛・宇宙はるかにのフライのレビュー・感想・評価

3.8
昔々テレビで観た記憶はあったが、内容にハマらなかったのか、程ど記憶に無かったが…
宇宙人と女性とのラブストーリーだが、人情劇もあったり、政府機関への皮肉もあったりと想像以上の面白さが。

1977年8月20日ボイジャー2号は、太陽系惑星探査と同時に、ゴールドディスクに録音されたメッセージを地球外生命体に向け発信していた。そこには、音楽や、こんにちはを世界中の言葉で録音していたが、何より国連事務総長自ら地球に招待するメッセージが入っていた。
ボイジャー2号は、巨大な宇宙船の中に吸い込まれメッセージを確認。小さな宇宙船が地球に向け発進していた。
カレン・アレンが演じるジェニーは、一人田舎の湖畔に住みジェフ・ブリッジスが演じる亡き夫スコットとの楽しい日々を送った映像を見ながら悲しみにくれていた。そしてワインを飲みながら無理やりベットで横になる。
小さな宇宙船は地球の大気圏に突入し、アメリカ領内に入る。アメリカ軍はそれを探知し、戦闘機をスクランブル発進させる。ソビエトと冷戦下にあった為、緊張が走るが、違うと分かりながらもミサイルを発射し撃ち落としてしまう。
撃ち落とされた宇宙船はジェニーの住む湖の近くの山に墜落。すると宇宙船から青い光の玉がジェニーの家に向かって飛んで行く。光の玉はジェニーの家に入ると、アルバムを見つけ、スコットの写真と、一緒に貼ってあった毛髪を調べる。ジェニーは、光に気づきリビングに行くと、そこには光を放つ赤ん坊が。そして赤ん坊はみるみる成長し、怖くなったジェニーは、銃を向けるが、そこにはスコットと瓜二つの人物が。そしてジェニーと、スコットに瓜二つの宇宙人は、共に本来の着陸地点に向かう事になるのだが…
その時アメリカ政府機関は、宇宙船を見つけ中を調べると、そこにはボイジャー2号のゴールドディスクが有り驚愕するが…

若いジェフ・ブリッジスと、カレン・アレンを見て思わず震えるものがあったが、ストーリーも秀逸だったのでかなり楽しめた。
ジェニーと亡き夫スコットに変身した宇宙人とのラブロマンスと言う異質な内容でありながらも、好きだったスコットと、宇宙人として何も知らないあどけなさや幼さ、純粋さを感じる行動と優しさのある行動に心を惹かれる展開は、ある意味人間の汚れた部分を削げ落とした様に描かれているので納得できるし一層素敵に思えた。例えるなら素敵な王子様が突然現れたと言った表現の方が良いのかも。そこに色々な人達との人情劇まで展開されるので、心温まる内容と人の優しさを感じ観ていてとても気持ちよかった。
実際打ち上げられたボイジャー2号を使いある意味皮肉とも取れる、招待しながら撃ち落とすと言う展開は面白かったし、更に政府機関が悪質な行動に向かって行く展開は、ストーリーの芯でもある愛や優しさとは相反する定番プロットだが、だからこその作品の世界観に没入出来る面白さを感じた。
ラストにしっかりと希望を残す当たりも粋で良かった!
本作の前に制作されたE.Tとは大枠では似ているが、E.Tは宇宙人との友情物語で、本作は宇宙人との愛情物語なので、似て非なるものとして楽しめる作品に思えた。例えるならE.Tが子供寄り万人向けの宇宙人作品だとしたら、本作は大人向けの宇宙人作品かと。更に例えるなら、SF版おとぎ話と言った方が良いのかも。

ジョン・カーペンター監督作品としては、かなり異質な映画なので、これ迄の作品を想像して鑑賞するとハシゴを外される可能性があるので注意!
ジェフ・ブリッジスやカレン・アレンが好きならオススメだが…余り見たことの無い、心温まる異色のラブストーリーを見たければ是非。
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