監督:ウィリアム・フリードキン
ずっと大好きな傑作だけど、僕が観てきたのは、90分の短縮版だった。1977年に公開された名作に30分追加したフリードキン監督の望んでいたバージョン。ディレクターズ・カット完全版。
味のある役者を揃え、タンジェリン・ドリームの電子音が独特の雰囲気を生み出している。
子供の頃、僕は怪獣や巨大生物に続いて、トラック・ブームだった。「激突」、「爆走トラック76」、さらに「コンボイ」。トラックの怪獣のような雰囲気に惹かれていた。とくに映画に登場するトラックは、フロントグリルが歯のように見え、ライトも片方だけで、片目のワニのような怪獣に見えた。
付け加えて、ロイ・シャイダー・ブームがあって、「ジョーズ」、「フレンチコネクション」、「セブンアップス」に出ているおじさんがクールでカッコよかった。
そのトラックとロイ・シャイダーが合わさっていたのがこの映画だったので、観ないわけがなかった。ニトログリセリンもこの映画で知った。
言うまでもなく、後半の1時間は抜群に面白い。ハラハラドキドキの連続。
当時大幅にカットされていたのは、前半部で、なぜ曲者の男たちが南米にやってきたのかが描かれている。退屈といえば退屈かもしれないけど、この前半部はのちの伏線にもなっている。
テロリストのアイデアで、巨大な障害を「ピタゴラスイッチ」的な方法で突破するのも理解できる。
インディオを絡めたり、ドキュメンタリー出身のフリードキンらしさが随所にある。
カメラアングル、光の使い方が素晴らしい。
リアルな映像に加えて、迫力満点のシーンが続く後半は映画の教科書にもなる傑作。
ラスト、よーく耳を澄ましておくこと。