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スーパーティーチャー 熱血格闘のmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
宇宙最強の男、ドニー・イェンが熱血教師を演じる痛快作。


型破りの教師が問題児たちを更生してゆくストーリーは日本のドラマや映画でもよくあるパターンだ。話の展開は王道。落ちこぼれの問題児たちは先生に心を開き、自分達の存在意義を見い出してゆく。問題児だけでなく、他の生徒や先生といった学園そのものを大きく変える。生徒と先生の絆が感動的な、そんな感動物語だ。

面白いのは主人公の教師の設定。ドニー・イェンが演じるとただの強い教師でなく、高尚な教えの基に導く人生の師のような存在になる。そう、彼が演じた『イップ・マン』のような。熱血なのは力に任せた指導方法ではなく、ひとつひとつの事柄に全力で取り組む姿勢の方。一人一人にしかと向き合う姿勢が生徒の心を動かしてゆく。

彼が受け持つクラスの生徒は問題児だらけ。けれど、その問題児たちも自身に問題を抱えている。反発しているのにも原因があるわけで。そこに目を向け、問題を解決することが大切。問題を起こした生徒を退学処分にしようとする校長に対し、「見捨てては駄目だ」と、その必要性を説く。成績優秀な生徒を生み出すことにばかり執着し、未来ある若者を導くことを忘れた教育界に疑問を投げかける。生徒らにも自身の問題ときちんと向き合うことを学ばせる。どんな問題もそれと向き合うことが大切。それを乗り越えた時にこそ大きな成長があるからだ。

彗星の如く現れ、学園を救うスーパーティーチャー。その主人公自身の掘り下げがされているのも良かった。こういう型破りな教師はそれだけでキャラクターになってしまうのだが、彼が何故この学園を選んだのか、何故そこまで熱くなれるのかも納得のいく説明がされている。そこと紐づけても、人を育てることの重要性が理解出来る話だった。

ドニー・イェンだからこそのアクション性も健在。必要な時には伝家の宝刀であるカンフーを繰り出す。俊敏で流れるような鮮やかな身のこなしは50台とはとても思えない。まだまだ若々しくカッコイイ。こんな先生いたら、そりゃ学校が毎日楽しいだろうね。


展開が少々大雑把に感じる部分はあるが、細かいことは抜きにして爽快な気分にさせられる。ドニー・イェン演じるスーパーティーチャーが世直しをする愉快痛快作だ。期待通りの良作で満足!
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