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37セカンズのmotoiのレビュー・感想・評価

37セカンズ(2019年製作の映画)
4.3
驚きです、実際の役に障害者の方が充てられるとは。リアリティ追求にはこれ以上ない手段なんですが、思い切ったことしますよね。
もともと女優さんではないので、演技はそれほど期待しての起用ではないのかなとも思うんですが、主役の佳山明さんは体当たり演技も厭わない。凄いです、序盤の映像に度肝抜かれました。

"障害があろうと無かろうと、一人の人間としては何ら変わらない"

この普遍的なテーマを、主人公ユマと過保護な母親との関係、そして周りの人々との交流により、彼女が自立していく様を通して描いています。
特に母親との関係の描写は、母親役の神野三鈴さんの迫真の演技もあり、非常に見応えありましたね。
また彼女を助ける舞と俊哉が、いい味を出してます。

まあなんといっても、つい応援したくなるそんな不思議な魅力のある、ユマ役を演じた佳山明さんには拍手を贈りたいです。

終盤のロードムービー的な展開は少々リアリティに欠ける気もします。でもそんなことなど気にならないくらい、なかなか衝撃を受けた作品でしたね。

一般的に身近に障害者の方がいる人は少ないと思います。そんな人は普通に暮らしている分には、関わることはあまり無いでしょう。
私も含めてそういう人々こそ、この映画を観て、障害者に対して何かしら考える、きっかけになればいいですよね。
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