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Fukushima 50のmotoiのレビュー・感想・評価

Fukushima 50(2019年製作の映画)
4.0
この作品はエンターテイメントとして観るような代物では無いですね。なんとなく日本人として知っておかなければという気持ちだけで、観てきたようなもんです。

福島県の現状はよく存じておりませんが、まだ避難されて、地元に戻れず暮らしている方もいらっしゃるんでしょうか。
それに汚染水の問題もあるでしょうし、まだまだ震災の傷跡は、残ったままなのではとも感じます。

私は当時も今も関西に住んでいて、震災の被害は受けておりません。でも津波に次々と街が飲み込まれる映像や、原発の建屋が水素爆発する様など、ニュースで幾度となく見た記憶は残っています。
原発の専門家やコメンテーターが‘‘ベント’’や‘’再臨界‘’なんて言葉を言っていたのをこの作品を観て思い出しました。
一向に好転しない原発の状況に、それこそ「東日本をこんなに危険な状態にして、東電何してくれとんじゃ!」と勝手な事を思ったりしたもんです。今思えば東電のせいではないのにねえ…
でも当時は「大津波も想定して作っとけ」とか、「海沿いなんて危険やろ」とか「原発はあかん」とかよく知らんくせに批判してましたね。

でもこの作品を観て、現場の人々が如何に命を張って頑張っていたのか、痛いほど伝わってきました。報道されていた以上、危険な状態なのは知っていたんですが、一番驚いたのは劇中にもあった「あいつら死ぬぞ」って言われるくらいもう打つ手が無いところまで追い込まれていたということですか。

本編で語られていた様に、2号機の圧力が下がらないままなら、チェルノブイリの10倍の被害が発生していた訳で、それが運良く回避されたに過ぎなかったなんて、ほんと恐ろしいですよね。今の日本がこうしてあるのも、たまたまなんですね…
「甘く見ていた」とありましたが、自然の前に人間の叡智なんて、たかが知れてるというのを痛感します。

この作品に限ってストーリーはとやかく言う余地は無いでしょう。
現場でのやり取りのシーンは多少脚色もあるかも知れませんが、出演されてる方々の、仲間を想う気持ちの籠った演技に幾度となく泣かされました。
それにこれだけ沢山の俳優さんが出演してますが、ちょっとしか出番が無い人でも、しっかりと演技されていて文句のつけようがありません。
感動とはまた違うんですが、観て良かったとは思いましたね。

最後に、時の総理はやっぱり無能に描かれてましたね(^_^;)
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