サンチャイルド

グリーンブックのサンチャイルドのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.4
大きなサビやダイナミックな転調は無く、同じコード進行を何度か循環する、サークルソングというタイプの曲があるが(名曲スタンドバイミーなどもそれ)、このタイプの曲のように聞きやすく、心に染みこみやすい映画。ポイント毎にピアノ演奏が楽しめる構成、所々の笑いのセンスも高く、パターンの繰り返しなのに、テンポよく間延びさせない。

トニーリップの「土足で人の心に上がって(ほんとに入っては行けないところは踏み込まない)、そこの壁を崩し、解放をもさせる人」の偉大さがよく描けている。これが出来る人こそ、実は大人であり、愛情の深い人なんだと思う。(暑苦しくうっとうしくも感じる事もあるんだけど)蛇足だが、日本でも80年代のマンガ「人間交差点」において、こうしたタイプの大人をよきノスタルジーをもって描いていたっけ。

この古き良きお節介で「粗にして野だが、卑ではない」タイプの人が多くいた事が、西洋におけるあの頑強な差別心を一新させることに大きく貢献したのかも?と、視点がユニークなエボニー&アイボリーな映画。(まさにピアノの鍵盤で白人と黒人の調和の比喩を現したかのよう)