その旅の訳はーーー
冒頭…家に修理工として来た黒人二人に労いをと飲み物を馳走する妻、それを見たトニー(ヴィゴ・モーテンセン)はそのグラスをゴミ箱に捨てる。
捨てられているグラスを見て夫の仕業を察した妻は何も言わずグラスをキッチンに戻す。
1962年、アメリカには人種差別が根強く残っていた。
そんな時代背景の中、クラブで用心棒をするイタリア系トニーと、有名ピアニストのアフリカ系ドン・シャリー(マハーシャラ・アリ)は出会い、二人は南部を旅することになる。
育ち、身分、価値観などの異なる男たちの友情ものとして『最強の二人』を思い出す。
本作もそのギャップに笑いと涙を誘う、穏やかだが心地良い良作だった。
印象的だったのは、
旅中、人種差別が特に著しい南部でゲストとして招かれながらもトイレは外のボロ、楽屋は狭い倉庫、レストランでは食事もさせてもらえなかったり、
町中では試着もお断り、ホテルは黒人専用だったりと言葉以外にも様々な差別を受けながらもあくまで毅然としたドン・シャリーの言葉、行動だった。
「暴力は敗北だ。品性を保つことこそが勝利だ」
そして、そんな彼が感情を吐き出す雨の中でのシーン…。
また、彼の運転手役、ヴィゴ・モーテンセン、
実に、実に10年以上振り、『LOTL』以来ひっさしぶりの主演映画鑑賞だったが、
知的で芸術肌で質素な暮らしを好むヴィゴとは正反対のトニー役、
ホットドッグを26個食べ、ピザは一枚そのまま丸めて食べるそんなフードファイターのようでもあり粗雑な男の役だが、それに相応しいでっぷりお腹の役作り。
衝撃的すぎて見慣れるのに120分かかりましたよ。
車でケンタッキーを食べるシーン好きだなぁ。
「手紙をありがとう」