現実逃避帰国準備

グリーンブックの現実逃避帰国準備のレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
ミュージシャン映画祭り一人開催中~

昨日レビューした『ボディーガード』と偶然同じ様な、「ブラックミュージシャンとボディーガードする白人」のお話。

だけど、『ボディーガード』の時代よりもっと昔、『グリーンブック』の時代は、南北戦争で奴隷制廃止になった後から100年近く、南部11州が、黒人分離Segregationを行っていた1962年。スタンウェイピアノじゃなくちゃダメと、ちょっとSnobbishだけど、あえて危険覚悟でSegregationがある南部の各州へ行く実在人物ドクター・シャーリーの功績は大きいと思う。ブラックSegregationのJim Crow法が廃止になったのが1965年。同じくSegregation時代を描いた『Hidden Figures(ドリーム)』は1961年のアメリカ南東部バージニア州で、これも実話が基。

ヴィゴ・モーテンセンのお腹見てびっくりして、詰め物に違いないと思ったら、役作りの為に本当に太ったらしいと知ってまたびっくり!

それと、ヴィゴはどうみてもイタリアンに見えないから、観終わってから調べたら、デンマークやノルウェーの子孫だと知った。何故、彼が起用されたのかな? イタリアン系移民達は、イタリアン同士の結婚が多い中、トニー・リップは、北欧とイタリアンのミックスという設定でもおかしくはないけどね。でも、ヴィゴのイタリアンアクセントの英語セリフとイタリア語セリフを聞いているうちに、ヴィゴがだんだんイタリアンに見えてきた。イタリアンアクセントかなりトレーニングしたんじゃないかな。

イギリス人がアメリカ大陸に上陸したずっと後に、イタリアン達が移民してきて、イタリアン系移民たちも多少差別されていた時代、イタリアンアメリカンとブラックアメリカンの二人の信頼関係が自然に築き上がっていく。

スポイラーアラート↓




ジャズピアニストの話かと思ったら、クラシック出のジャズピアニストだった。

ロバートケネディ司法長官に電話して助かった二人。『戦場のピアニスト』の様にピアニストだったが為に助かった。芸は身を助くね。

ブラックの集まる場末のバーのピアノなんて、チューニングされてなくて、一つ二つ音が出ないキーがありそうだけど、そんなピアノで、まさかのショパンエチュード木枯らしを弾くDoc。

最初は黒人差別・偏見があったトニーが変わっていき、ドクターシャーリーと心が通うHeartwarmingな映画。最後はウルウルした。

オバマのやることなすこと批判していたトランプの「Make America Great Again」キャンペーンスローガンは、60年代の白人至上でGreatだった時のアメリカに戻そうというキャッチコピー。黒人が大統領になったことを許せない、移民嫌いな南部や内陸部の人達によってトランプが大統領になった。この2018年製作映画は、民族を超えた友情を描くと共に、そんなトランプ政権の危惧を訴えている。

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