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バスターのバラードのshingoのレビュー・感想・評価

バスターのバラード(2018年製作の映画)
3.4
6つの短編からなるオムニバスの西部劇。コーエン兄弟の西部劇と言えば「ノーカントリー」と「トゥルーグリット」だが撮影地も同じニューメキシコとのこと。ジョエル・コーエンは本作の撮影が昔に比べて身体的に厳しかったと語っていたそうで、あまり高齢のイメージが無かったが彼らももう60代なのでそれも当然。90近くになっても自分で監督・主演務めて車乗り回してるおかしな爺さんもいるが比べてはいけない。

この作品の内容はというと6つのエピソードはそれぞれ完全に独立したものだが、全てのエピソードが奇妙なシュールさとダークな笑いに溢れていて、そのストーリーテリングの巧みさはさすがの一言。そして全てのエピソードが明らかに死をモチーフにした作品となっている。これらの要素はコーエン兄弟の作品において今に始まったことではないが、どこか伝承譚のような形式を取っている本作とブリュノ・デルボネルによる映像が異様にマッチして、これまでの作風とは違う幻想的な世界観を創り出している。

なので本作がNetflixでしか観れないというのが非常にもったいない。特に4つ目のエピソードの壮大な大自然は巨大なスクリーンで観たかった。それとどうでもいいが個人的に一番好きなエピソードもこのエピソードで、トム・ウェイツがスコップで金を掘る姿や銃で撃たれてもピンピンしてブチ切れる姿がファーゴのスティーヴ・ブシェミにしか見えなかった。
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