たく

ジョーカーのたくのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.8
ゴッサムシティを舞台とした「ダークナイト」前日譚という体を借りて、一人の男の凄絶な人生体験を描く。
本作が危険な映画って言われてるのも分かるね。捉えようによっては犯罪者に同情的に描いてるように見えてしまうし。
いちおう「心が壊れたからって犯罪が許されるとでも思ってるのか?」ってセリフでバランス取ってた。

ストーリー自体は優しい男がジョーカーになるまでのシンプルなもので、何といってもホアキン・フェニックスに尽きる!
脳の障害で不安や悲しみを感じても泣くことが出来ず笑いを抑えられなくなるという、残酷なまでに凄まじい演技に圧倒された。悲しくても泣けないからピエロなんだね。チャップリン「モダンタイムス」から生まれた劇中歌「スマイル」の歌詞を彼に重ねると、何だかゾッとする。
優男が拳銃を所持するのが「天気の子」と繋がってて闇が深い。

普通の人になれない苦しみ、貧困、世間の冷たさ、衝撃の生い立ちなどがアーサーに次々のしかかって心が壊れるんだけど、「モダンタイムス」も社会の最底辺の男が現代の無機的な社会に順応できず心が壊れる話だった。これを豪華な劇場で金持ち達が鑑賞してるところがなんとも皮肉。

アーサーがダンスを踊るシーンが頻出するのは、魂の解放を表してるのかなと思った。
映画の演出としては、ちょっと大仰なBGMにスローモーションの多用で大味に感じかな。


(2019.10.9追記)
とあるブログのレビューを読んで目から鱗。
なるほどねー!
そういえばホアキン・フェニックスは「容疑者、ホアキン・フェニックス」というとんでもない作品作ってたし、本作でジョーカー演じたのも納得。
たく

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