ヤバい映画だった。 救いの無さと闇と狂気に呑み込まれて観賞後も支配されている。 面白いとか感動とか、怖いとか、そんな感想ではなくて、一つ何かが違ったら、誰かがアーサーにもっと優しくしていたら。 最後の砦、最愛の母の真実が切な過ぎて。 生きる事は辛い事も有るけど、もしも肯定してくれる人がいたら、もしも居場所があったならと思わずにいられない。
一つ一つの現実が、もはや他に選択肢が無いとさえ思えてしまうほど。
演技には見えない位にホアキン・フェニックスがヤバい。
老いた母親の面倒を一人で看て、人を笑わせたい、コメディアンになりたいと夢を持っていた 本来は優しい男。
底辺から這い上がりたくて足掻いても足掻いても這い上がれないのが悲しい。
テレビ出演前の階段での「ジョーカーの舞」がヤバ過ぎて忘れられないだろう。
このシーンは、ジョーカーという「悪」では無く、ジョーカーという「カリスマ」が誕生した瞬間だった。