数々のコメディを世に放ったショーン・アンダース監督が、監督・制作・脚本の全てを手がけた新作。
おそらくだが、この映画を嫌いだと言う人はいないのではないだろうか。血のつながりのない5人が大騒動を繰り広げる様子がユーモア満載で描かれており、コメディとしての質が非常に高い。5人のキャラクターがそれぞれ異なり、全く違う面白さを提供してくれる。
気性は荒いが懐は深く、何だかんだまとめ役を買って出る大黒柱のピート。周囲に振り回される損なポジションだが、ローズ・バーンの名演によって愛すべきキャラクターに昇華されているエリー。3人の子供もそれぞれ個性的だが、やはりイザベラ・モナー演じるリジーの存在感は群を抜いている。
また、養子縁組制度の実状もそれなりに伝わってくる内容となっていて、単なるちゃらけたコメディで終わらせないのが良い。本作の冒頭で、主人公夫妻はちょっと嫌な奴として描かれる。彼らが養子縁組しようとする動機はめちゃくちゃ不純だし、オリエンテーションでの発言にも引いてしまう。
その雰囲気を引きずることなく、全員が家族として絆を深めていく過程や養子縁組ならではのトラブルがしっかりと描かれており、なおかつ感動的な結末に仕上げた脚本の構成が見事だ。監督自身も実生活で養子を迎えており、当事者ならではの視点が果たした役割も大きかったに違いない。
⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:81%
・観客支持率 :82%
「本作は、現実の養子縁組の複雑さをうまく表現できていないかもしれないが、無条件の絆を称えるにふさわしい善意に満ちたドラマであり、見る価値がある作品である。」