象徴的に映し出される豊洲や晴海など沿岸部の街並み。これはかつて日本がイケイケドンドンだった時代の遺物だ。今はもう空洞化して空っぽ。そんな風景とかさなるように物語は主人公と男子三人の間で進んでいく。
実写の風景で物語を語らせようとしたのは新海誠の手法と似ている。ただ、アニメは背景を創造主の思い通りできるのに対して、実写はそうはいかない。そこを監督はチープに見えるセピア色の加工やモノトーンにすることで表現しようとした。インスタグラムで誰しもが現実を加工できる時代に、風景を切り取って加工して演出するのは当然の手法だろう。映画でそれをやって成し遂げたことこそが、この作品の最大にして最高の魅力だと思う。
