瀬口航平

リンドグレーンの瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

リンドグレーン(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

紙幣にもなっているぐらいの世界的に有名な児童文学作家、アストリッドリンドグレーン。彼女の作家になるまでの人生の話。彼女の話は読んだことはなくて、でも最近映画化したやかまし村シリーズがとてもよかったので、気になって観ました。
なぜ作家になってからの人生を描いてないんだろう、と思いましたが、作家というよりは、誰もが共感し得る一人の女性としての彼女の人生を描きたかったのかもですね。
この後の彼女の人生は知らないですが、少なくともここまででもかなり波乱万丈。苦しい人生が描かれます。
個人的に彼女が子供を引き取って、ママとして生きていこうとするところがすごく胸にきます、、
そして物語が子供との関係を繋いでくれるところのシーンがすごく良いです。
主演の女優さんの演技の変化も良き。ママとして覚悟を決めてからの彼女はそれまでとは別人です。最初の天真爛漫な彼女もよかったけど、様々なことを経てきたママさんになった彼女はすっごい綺麗。ママさん強し。
そしていろいろあったけど最後に家族の再生が描かれてるのが優しい世界でよかったです
その他の俳優さんも皆さんとてもよかったです。全体的に抑えた演技なのがよかった。憂いが感じられたので、児童文学作家の話なのに、ストーリーはとても大人な話になってるところが面白かった。

人生に苦しみがあるからこそ、物語を通して光を描けるし、乗り越えてきたからこそ、人生を逞しく生きていく子供たちを作品の中で描けるのだなあ、と感じました。

児童文学の世界には、決して明るいだけの世界はなくて、人生の荒波をどう乗り越えていくか、ということを子供の視点からユーモアたっぷりに豊かにイキイキと伝えてくれるものがあるように感じていて、その創作の源を感じ取れたとても興味深い作品でした。
瀬口航平

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