こたつむり

シャドーのこたつむりのレビュー・感想・評価

シャドー(1982年製作の映画)
3.3
♪ 揺れている君の dancin' shadow
  瞳 くぎづけ
  ドアの前クラクション鳴らせば
  夜が始まる

鮮烈な血渋木。繰り返される殺人。
事件に巻き込まれたミステリ作家の行く末は?…という物語。ジャッロの雄、ダリオ・アルジェント監督の代表作とも言える作品です。

特に“観やすい”のが好印象。
他の作品よりも“ねちっこさ”が薄いんですよね。だから、テンポが良いんです。サクサクと死体が積みあがっていく様は、ある意味で圧巻。緻密さと対極にある物語でした。

でも、こういうのが良いんですよ。
“土曜ワイド劇場の法則”に「被害者は複数が良い。できれば3人以上がベスト」とありますが、本作は3人どころか…数えきれないくらい。登場人物全員が死ぬ…と言っても過言じゃありません。

だから、面白いに違いないのです。
しかも、終盤のひっくり返し方は鮮やかの極み。
プロのコックさんの様にフライパン返しが決まっているんです。僕も“あの”小道具が欲しいなあ。

あと、エロの使い方も鮮やかでしたね。
特に序盤はスゴいです。ぽろり率は当社比200%。「それってただの痴女では?」と思うほどにポロリしちゃうのです。そもそも下着を着けていないですからね。それにアレがやたらと存在感を主張しちゃうんですから。うん。けしからん話です。もっとやれ。

ただ、あえて難を言うならば。
80年代前半の作品なんで、バリバリのシンセサウンドは興を削ぎますね。怖気が走るはずの場面なのに、やたらと爽やかな感じは…監督さんの心情は“そちら”だったのかもしれませんが…って、それが一番怖いんですけど。

まあ、そんなわけで。
着地点も含めて、二時間ミステリドラマが好きな人にオススメしたい作品。“土曜ワイド劇場の法則”にも「怪奇色が強い作品はヒーハー」とありますからね。やっぱり、血糊は使えば使うほどミステリは面白くなるのです。

あ。ちなみに“土曜ワイド劇場の法則”は僕のオリジナルなんで。念のため。
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