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アマンダと僕のrollinのレビュー・感想・評価

アマンダと僕(2018年製作の映画)
4.5
ひさかたの
光のどけき
春の日に
静心なく
花の散るらむ

主人公ダヴィッドはアパートの管理業と街路樹の枝切りで生計を立てているメンテナンスマンで、それは歴史ある景観の守り人、延いてはパリという街そのものを体現しているような性格だった。

日常風景が映画になるような人たちの日常に、やがて現代的な悪意が衝突する。ダヴィッドと姪のアマンダは明らかにPTSDの兆候が見られるんだけど、この街の人々は傷の癒し方さえもおしゃれでなければならない。

アマンダはへちゃむくれのムッソリーニ顔で何とも愛らしい。アマンダのにらみが好き。
ダヴィッドとアマンダそれぞれが泣き崩れるシーンはこちらへのダメージも甚大。挨拶を交わし終え、別れた友人を追い掛けて真実を告げるシーンや、客を迎えに行った駅で突然嗚咽してしまうダヴィッドのリアルな反応が良い。ちなみに駅にはブレラン2049の巨大な広告がありました。

特に印象的な演出は窓の使い方で、窓の開閉で窓際に立っている人物の心情を表現しているのがベタだけどパリだからおしゃれだった。宵の窓越し。アッ夏のかぜすずしいね。

あとフランスの本田翼ことレナも姉ちゃんもデニムのスカートがエロい。

花の都のアパートで、空いた部屋をテトリスブロックで埋め込むような生き方をしていた男がパリを発つ。クライマックスにテニスの試合を充てたこの映画の暴力に対する声明も清々しい。ダヴィッドの顔面が時折若きボブ・ディラン、またはプレスリーに見えるのは偶然ではないと信じたい。
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