おさかなはフィッシュ

あの日々の話のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

あの日々の話(2018年製作の映画)
3.5
進撃の一年目、年目の違う女子同士のまるで中身のない会話など、数々の「大学生あるある」にとにかく笑った。
サイトウさんの涙が最高。(GPAは低くても、絶対いい人)

楽しいのは最初の一、二時間だけだと知りつつ、なぜその場に残ってしまうのか。
地獄めぐりじゃないけれど、酒、疲労、男女のあれこれ、どの部屋にもそれぞれの狂気が。
劇中では(あえてかな)描かれていなかったけれど、飲み物を取りに行った先のドリンクバーのあたりで、とくにおいしくはない、けれども部屋の中よりはずっと新鮮な空気を吸って、少し長めに居座ってしまう感じを思い出した。
それでも、こっちの部屋はこうだよ、なんて情報交換をしつつ、最後にはちゃんと、またどこかの部屋に閉じ込められに行くんだよなあ。

イシカワくんの「松屋行きません?」がめちゃくちゃ好きだった。
とにかく眠いし疲れているし、電車もとっくに動いていて、ようやく解放されたはずなのに、なぜだかすぐには帰ろうとしない不思議。
それとない吐き気と闘いながらの朝マック、車掌さんに起こされる地下鉄の終点など、あの日々の風景が蘇った。
反対に、オガワさんしかり、ホソカワさん&ヨウコさんペアしかり、大人たちから順に現実へと戻っていくさみしさ。
自分もいつしかそちら側にたどり着きつつあるのかと思うと切ないね…。

マオちゃんの件もそうだし、新代表の件も、謎はそのままにしてあるところがよかったなあ。
村上虹郎くんがどんなにかわいい一女と一夜を共にしていても、言うなればそんなのどうでもよくって、「もう何だったのか多分誰も覚えていないし、自分もよく覚えていないんだけれど、ひたすらに何か騒いで、確かにみんなでその場にいた」ということが重要で、私たちは酒臭くて煙臭いあの夜の貴重な生き証人として、そのろくでもなさを誇らしげに語るのだ。



GWの終わりも終わりに、ユーロスペースにて鑑賞。
元気でた!