逆鱗

暗数殺人の逆鱗のレビュー・感想・評価

暗数殺人(2018年製作の映画)
3.7
警察は全ての犯罪を明るみにできているわけではない

暗数殺人、統計上の殺人事件数と実際の殺人事件数との差異
普通に考えると、そこに差異はあるのは当然であるが、改めて恐ろしい

劇中のような直向きに捜査を続けてくれる刑事の存在は本当に希少だろう
刑事もサラリーマンと同様に出世を望むし、自分の家族に楽をさせてやりたいと思うのが当然であるから、誰も責めることはできない

この作品から個人のミッションや存在意義について考えさせられた
劇中の刑事は、犯人を逮捕して手柄を上げることではなく、被害にあったまま事件の存在も知られることなく、どこに眠っているかもわからない状態の被害者が不憫で仕方なく、かつそのような状態を許していることを刑事の存在意義として義憤に駆られるのだと思った

世の中で何かを成し遂げる人物に共通していることだと思う
誰かに認められたいから努力することを超越し、自己実現のために直向きに遂行する、この劇中の刑事の姿は、イチロー元選手や藤井棋士などにも通じるところではないか

作品テーマはシリアルキラーと重く暗いものだが、刑事の姿は、清々しい背筋の伸びる思いをさせてもらい良き映画体験であった

以下蛇足
私は個人的な趣味で、美男美女をあまり多くキャスティングせずに、面白いと思える映画が大好物である。
この映画もそれに当てはまると感じる。
キムユンソクの顔は普通のおじさんで体型も中年体型、脇を固める刑事もおじさんだらけ、これが作品に重厚感を与える。もちろん演技のうまさも相まって。
実際の世の中も活躍しているのは、見た目は普通の人々。
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