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ナチスの愛したフェルメールのmaverickのレビュー・感想・評価

3.6
天才贋作家として有名なハン・ファン・メーレヘンの半生を描く作品。彼はフェルメールの絵を贋作していたのだが、第二次大戦時にナチスの高官がその絵を本物だと信じて買い取ってしまう。この時点で彼が製作した贋作とは知られていないため、オランダの文化財をナチスに手渡した罪により、本国から裁判にかけられてしまう。売国奴としての疑いをかけられた彼は、自身が製作した贋作だと告白するのだが、あまりにもレベルの高い作品で誰も贋作だとは信じてくれない。彼が何故贋作を製作するに至ったのかが裁判と平行する形で赤裸々に語られてゆく。彼の半生は実に奇妙で興味深く、芸術面でも勉強になる。知的な作品で面白かった。ナチスの~と邦題がついているので戦争ものだと勘違いしてしまうが、戦争映画としての側面はさほどない。贋作家ではあるが、彼の技量の高さは評価されている。その一方で、いち画家として認められなかったことの苦悩が本作では描かれる。演じている役者の上手さも光り、見応えのある作品だった。才能はあるのに、悲しい人生を送った彼がかわいそうだったな。
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