MALPASO

運び屋のMALPASOのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.0
原題は「The Mule」ラバ、頑固者

製作・監督・主演:クリント・イーストウッド

必見!

この人のマグナムにはあと何発残ってるんだろう?88歳のイーストウッドが久々の主演。90歳の麻薬の運び屋を演じる。

先日のアカデミー賞で主演女優賞を受賞したオリヴィエ・コールマンは、映画の中のアン王女よりも若々しくチャーミングな女性だった。ハリウッド・スターは役柄よりも若く見える人が多い。日本アカデミー賞に毎年のように出てくる大女優は実年齢よりも若く見せようとしていることがほとんど。実年齢くらいを演じていても若作りのせいで毎回違和感満載なのだ。何が言いたいかと言うと、今回クリントは実際よりも老けて弱々しい演技をしている。88歳であんなに元気なおじいさんもそんなにいない。アクション・スターとして長年活躍してきたクリントは年相応の役を演じることが多かった。「グラントリノ」の主人公もピッタリはまっていた。

今回は自らの半生を主人公のキャラクター作りに反映させたいう。家庭を顧みず好きな仕事に生きてきた男。外では出来る男も家庭ではダメ人間。妻にも娘にも愛想をつかされて逆に捨てられた男。娘を演じるのは、実の娘アリソン・イーストウッド。演技なのか地なのかわからなくなっている。

英雄色を好む。クリントはゲイの夫を持つ女優のソンドラ・ロックと不倫の挙句に他の女性とW不倫したり無茶苦茶やってきた人。5人の女性との間に7人の子供がいるけど、結婚したのは2人。66歳で娘が誕生している。この映画の中でも3Pするシーンがあったりして、このおじいさんはなんなんでしょう。そっちのマグナムはあと何発残ってるんだろう?

前作「 15時17分、パリ行き」ではド素人の役者ですごい傑作を生み出し、ハズレなしのクリントの映画だけど、今回も名作!クリントのカッコつけない役作りもあって、映画はひじょうに面白くて、切ない。失礼かもしれないけど、88歳が作ったとは思ってないくらいすごくテンポがいい。

ラストに流れるのは、♪Don’t Let the Oldman inという歌。

余談ですが 以前クリントに会った時、僕のおじいさんが硫黄島で亡くなった話をしたら、「そんな人の孫がここにいるのか」って驚いて肩を抱きしめてくれた。硫黄島を歩くクリントの写真にサインをしてくれて「おまえのおじいさんだよ」って言ってた。しかし、のちに「硫黄島」は、僕の長年の勘違いで、おじいさんが亡くなったのは鹿児島の硫黄島だった。渡辺健さんにこのこと話したら、クリントは喜んでたと思うから、「地獄までその話は持って行こう」と言われた・・
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