NaokiAburatani

運び屋のNaokiAburataniのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.5
マグロを見て「止まれねぇんだよ…」と呟いてしまう人のための映画。
まずは、今年御年89歳になる監督・主演のクリント・イーストウッドに最大級の敬意を払いたい。
主役のアールは、ワンデーリリー栽培の仕事に追われて家庭を全く省みない男。
他人の意見や時代の流れを見向きもしない典型的な頑固ジジイ。汚ない言葉や差別発言、汁気たっぷりの達者ぶり、麻薬カルテル相手にも引けを取らない堂々っぷりに目的のためなら犬の鼻をもぶっ潰す畜生ぶり…あれ?これイーストウッド本人じゃね?って位はまり役。人生の特等席で見納めだと思ったスクリーンに写る過去と現在の勇姿!最初は背筋を真っ直ぐ伸ばし、洒落たスーツの伊達男だったのが、没落してからは一転丸く小さくなり、地味な服装に眉毛ボーボーとみすぼらしさ全開でその振り幅に驚いた。
とにかくこの映画はイーストウッド自身の集大成を描いてる気がするし、やっぱりこの役はイーストウッドにしか出来ない。特に自分に正直に生きているだけなのに、いつの間にか回りに好かれているとことか。スクリーンでまた彼を見れるのだろうか。そう考えると少し切ない。
しかし、人は一度タガが外れるとここまでとことんいくのだろうか。
ストーリーは分かりやすく、落とし所もある程度読めるものの、火の玉ストレートなメッセージは突き刺さる。「時間だけは金で買えない…」でも、ブツ満載のトラックで葬式参加すんのはどうかと思うぞ。後、残された家族やカルテル末端メンバーの安否が気になる…
大体の映像作品で開催される麻薬カルテルのプールパーティーには絶対参加したくないけど、水着美女達は死ぬ前に一度は生で見てみたい。
2019-21
NaokiAburatani

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