猿橋

消えた16mmフィルムの猿橋のレビュー・感想・評価

消えた16mmフィルム(2018年製作の映画)
4.8
邦題に文句つける映画ファンにだけはなるなとの祖母の遺言は守らないといけないのですが、この映画、この映画だけは!「シャーカーズ」でなければならなかったと思います。
なぜなら、この映画は、25年前に同名の映画を奪われた1人の作家による復讐戦だから。取り返した映像を用い、その後の自分自身のストーリーに組み込み、音楽をつけ、映画として完成させた。そして、仲良し3人組の中ではっきり言って出遅れ気味だったことは否めないキャリアまで一発逆転させた。かつての叶えられなかったギラギラとは違う、ちょっとセンチメンタルな形で、野心を結実させた。そのストーリーにつける題名は、当時と同じ「シャーカーズ」でなければいけなかったと思います。
ジャスミンに自分を厳しく批判させ、浮き足だってた当時の自分に比べソフィーがいかに優秀だったかもちゃんと描く。このフェアさは、当時の彼女にはなかった、その後の年月で手に入れたものでしょう。25年かかった、でもついに映画は完成した。しかも、当時完成させていたら出来ていた映画より、ずっと良い作品として。こういう奇跡もあるんですね。傑作。
猿橋

猿橋