あーちゃん、戻ってくるよね
天才たちが集まる国際ピアノコンクール。
そこに集う4人のビアニスト達のストーリー。
家庭持ちで年齢制限ギリギリの高島。
名門音楽院在席で優勝候補の完璧なマサル。
突如現れた、世界最高峰のピアニストの推薦状を持つ謎の少年塵。
元天才少女で七年前に突然失踪し、再起を目指す主人公の亜夜。
それぞれの思いでコンクールに臨む。
亜夜は失踪時、母親を亡くしたばかりでまだ子供。
コンクールの壇上で弾けなくなってしまい、ピアノの世界から遠のいていた。
今回のコンクールで克服し、ピアニストとして生きようと必死だが、「当時」の自分が頭の中に出て来て…
青くて銀色の雨の中で走る馬と、幼い亜夜。
彼女が不安になる度々、登場する風景は幻想的な美しさ。
敵わない不安を上手く表現している。
幼なじみで参加者のマサルの苦難を助けてあげるが、荷物をまとめ、普段着の亜夜。
自分の事は諦めたのか、逃げるのか。
あーちゃん、戻ってくるよね
投げられるマサルの言葉。
小さな頃に母と感じた「普通の音」を音楽に感じる歓び。
あなたが世界を鳴らすのよ
思い出す母の言葉。
演奏の楽しさを取り戻す亜夜。
最後まで演奏する事ができるのか?
苦悩と葛藤、
音楽とトラウマと友情の物語。
後半にかけて音響が段々と良く感じられる。
ヒロイン松岡茉優の演技も素晴らしいが、塵を演じた鈴鹿央士の透明感が凄い。
異才な存在感を放っていた。