このレビューはネタバレを含みます
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この映画の“語らなさ”が好きだ。音楽的だなあとも思う。
音楽が、どこかで記憶と結びつく。
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コンクールに挑戦する4人の関係。ライバルのようにただぶつかり合うのではなく、互いの音楽に惹きつけられ、何度でも引き戻され、誰かの音楽が弾き続ける糧になる。
原作の著者、恩田陸さんの言葉を借りると「ひたすら前向きに音楽に邁進する人たち」の姿。「才能は、そういう意味で『いろんな組み合わせ』」*という言葉。
そういうところが今まで聞いてきた物語とはなんだか違って、でもそれが心地よかった。
架空の課題曲「春と修羅」(架空なんだ……と気づいたのは終わってから笑)。作曲家の藤倉大さんが書き下ろしたということです、すごい。4人のそれぞれのカデンツァ(即興演奏)の部分も、個があって、それが音楽になって聞こえてくる。
原作が読んでみたい。「小説を読んでいた時に想像した通りの音が流れた」というレビューを観るたびに、なにその感動!超羨ましい!と心底思っている次第なのです。
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松岡茉優がこうやって出てくると、実は楽屋ではダサかわいい雪だるま的なTシャツでも着てる展開こないかなとか思っちゃうんですけど、栄伝さんにはそういう種類の“脆さ”はいらないですね。
好きな俳優が出てる映画って、それだけで嬉しいけど、色々と、情が入って困る(笑)でもそれくらい好きなのです。
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*恩田 陸インタビュー|映画『蜜蜂と遠雷』公式サイトhttps://mitsubachi-enrai-movie.jp/interview.html ,2019/10/29アクセス。