賽の河原

蜜蜂と遠雷の賽の河原のレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.3
もうこれ観たの先週のことなんですけどね。
こういうのって早めに書かないと忘れますから、なるべく早めにゴリゴリ感想を書き残したがるマンなんですけど、あんまり書く気が起こらなかったという。
結論から言えば面白かったし素晴らしい映画で最高ですよ。#最高
具体的に言うともうね。キャストがもう優勝してるっていうかさ。もう松岡茉優、松坂桃李、
森崎ウインさんとかね。もう映画の成功が約束されたキャスティングでね。実際素晴らしい。
あとは鈴鹿央士さんとかね。もう全く無名な役者さんが狂気すらはらむようなキャラクターを見事に演じきっててね大変面白いですよ。
そもそものところ監督が石川慶監督でね。短いのは数本撮ってるみたいですけど、前作『愚行録』が長編デビューでね。批評的にも凄く評判のいい作家ですよね。本作も、なんならクラシック音楽のコンペティションを描いた映画なんですけど、時折バキバキに尖った絵を撮ってたりするのが凄いっすよね。
演出面も良くてね。やっぱりこの4人のなかでの松坂桃李さんのエピソードをじっくり描いているのが良いというか。もはやこの人も映画に出てきたら優勝確定の臼田あさ美さんとの夫婦のエピソードがね。「夫婦であるが究極的には理解し得ない断然」みたいなものをグラフィカルな画角や距離で浮かび上がらせるのも見事、臼田あさ美さんが演じてる役ってパンピー、要は我々観客の視点でもあるわけですけど、パンピーからすれば松坂桃李さんすら天才に見える。こういう演出があるからこそ中盤以降、残り3人が才能を散らす演奏が際立つわけですわな。
まああとはピアノとか音楽周りの説得力も見事でね。詳細は言及するまでもないけどまあ「音楽」っていう映画にしにくい題材をちゃんと映画にして撮ってるのは本当に素晴らしい達成ですよね。
とにかく見事な作品だと思いましたけど、なんか結構この映画を昨年の日本映画ベストに挙げる方が多かったのでね。期待値高めで観ちゃったっていうかね。
前作の『愚行録』もそうでしたけど石川慶監督、映像化が難しめな作品を撮っててね。いずれも「これは素晴らしい映像化!映画化だ!」って作品なんですけど、意地悪い言い方すると「素晴らしい映像化、映画化」っていう印象でしかない部分もあってね。「じゃあ何か映画ならでは新しさは?」「突き刺さるものがあったか?」みたいなこと考えるとうーん、みたいなとこもあるんですよね。
本当に見事に撮れてる映画だと思いますし全然悪い映画じゃないんですけどね。冒頭にも書いた通り、なかなか感想書きたくならなかったっていうことですよ。よく出来てる映画ですけど、私としてはゴリゴリ感想書きたい熱みたいなものは特になかったというか。とりあえず石川慶監督、非常に才能ある映画監督なのは間違いないのでオリジナル作品観たいですね。
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