blacknessfall

シャフトのblacknessfallのレビュー・感想・評価

シャフト(2019年製作の映画)
3.2
サミュエル・L・ジャクソン版『シャフト』の2作目。2019年に作られてたなんて知らなかったよ。前作が2000年だからほぼ20年ぶりか。
オリジナルは70年代のブラックスプロイテーションの代名詞。

妻との離婚以来離れていた息子JJが友人の死に他殺の疑念を抱き、父であるシャフトに捜査を依頼する。友人の死の真相を調査するうちに背後に麻薬カルテルの暗躍があることを掴む。友人を殺した麻薬組織殲滅にシャフト親子が動き出す。

本作、かなりコメディに振ってる。もともと娯楽アクションだけど、親子のジェネレーション・ギャップでやたらと笑いを取りにくる。ネットへの距離感、女性に対するスタンスの違い、所謂ポリコレ意識の世代差をギャクに軽妙に話を進めていく、他にも息子はマサチューセッツ工科大卒でFBI分析官のエリートでアウトロー探偵である父シャフトとの社会階層からくるギャップもネタにし、今風のアメリカンコメディな演出が目立つ。

セリフやギャグは今風なんだけど話の展開、構成、テンポは80年代あたりのバディもの刑事ドラマのようで全体的に平板&緩慢で退屈する時間が多かった。息子だけではなく元妻とのラブコメ・パートもあり、妙にほんわかしてる。ブラックスプロイテーションのクールでヒップな空気感が皆無なんだよな、、なんか『あぶない刑事』みたいなノーテンキさが強い笑

肩肘張らず楽に観れるエンタメ探偵映画になってるし、つまらなくはなかったけど、でも、こういうのが観たいんじゃなかったんだよ。つまらなくはないけど、つまらなかったよ🥺 おかしな日本語になったけどこうとしか言えない。

本作が決定的にダメなのはブラックスプロイテーションの肝である、ヒップでクールな黒人がダサくて悪いレイシストの白人を完膚なきまでにぶっと飛ばす話になってないこと。ブラックスプロイテーションには人種差別へのカウンターがなければならないんだよ。
それなのに悪役がシャフトの因縁のある黒人の麻薬組織ボスじゃ成立しないじゃあないか。悪いレイシスト白人が全然出てこないなんて2019年のリアルからもかけ離れてるし、ブラックスプロイテーションの金字塔の名を語るにはあまりに腑抜けすぎるぜ😡

まあ、でもサミュエル・L・ジャクソンはfuck、motherfuckerを披露してくれたし、シャフトの父親役を元祖シャフトのリチャード・ラウンドトゥリーが演じてくれたし、観てよかったよ。
blacknessfall

blacknessfall