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象は静かに座っているのmajiziのレビュー・感想・評価

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
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234分って何事かと思ったら師匠がタル・ベーラ氏だそうで。7時間超えのサタンタンゴの人か…

カメラワークがずっと背中越しと長回しの連続で酔いそうでした。

鬱々映画。

人生には悲劇も喜劇もつきものだけれど、この作品では人間みんなクズ以下、腐っていてどうしようもない、社会の悲惨さ、不条理、閉塞感っていうのを汚い汚い風景満載の中国河北省の石家庄を舞台にした老若男女の群像劇。


まあ、絶望感あふれる主人公たちも特段いい人間でもないし、同情も共感までも気持ちは持ってかれない。

だいたい出てくる登場人物みんな口悪いしロクな奴がいないので、当然ながらそこに幸せで美しい人生は生まれないでしょう。

破れかぶれ、厭世的な主人公たち。
また行動も結構投げやりなお粗末で、彼らは思いやりや優しさはお母さんの産道に置き忘れて生まれてしまったんでしょうか?

でもそんな彼らでも此処ではない何処かへ…と一縷の希望を持ちながら脱出を試みます。

最初から最後まで映像に明るい色は皆無。闇の中、僅かな光で羽根蹴りをする姿は、私たちの誰もが経験したりこれからするであろう小さな悪足掻きなんでしょう。
自分を騙すということは、いつか自分から復讐されるということです。

しかしながら、たとえ他人であれ、そこに一瞬でも心を通い合わせることができるのなら、それは救いであると思えました。
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