まっつん

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のまっつんのレビュー・感想・評価

1.5
ついにやって来た!ジュラシック・パークシリーズ最終章ですよ。シリーズへの思い入れを語り出すと長くなるのでここではしませんが、まぁ一作目「ジュラシック・パーク」は物心つく前から知ってる映画みたいなとこがあって。普通にもう脳内で全部再生できるレベルで何回観たか分からない作品であります。

そんな一作目から約30年たって遂にシリーズ完結….って言う割にはあまりに微妙な着地を見せたのが本作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」です。まずね、何が腹立つって「自分たちでやったことから目を逸らす」この及び腰な姿勢ですよ。要は、前作で恐竜たちが人間社会に放たれたわけです(この恐竜たちの放出に至るガキがクローンでどうこうみたいな話もホントにしょうもなかったわけですが)。街中に恐竜が闊歩し、蟹かなんかを捕ってる漁船はモササウルスに喰われて漁獲量が激減!そして遂に「果たして人間と恐竜は共存出来るのか?」というテーマに踏み込むのだ!そうであるからこそ本作は最終章なのだ!と思っていたら、そこの話は全然真正面からやらないんですよ。いや、分かりますよ。前作の最後で起こった事態を前に、決着なんかつけようがないのではないか?という気持ちは。僕だって「じゃあお前がアイデア出してみろ!」と言われたら何も浮かばないけど!浮かばないけどさぁ!でも、だったら前作の段階でこんなことやんなよって思うわけです。自分達でやったんだから、難易度は高いけどしっかり決着を付けろ!と言いたい。しかも、なんか倫理的な問題とかも入れ込んでくるわけですけど、そこに関しても「愛」みたいな都合の良い精神論で片付けちゃうんですよね。

だからむしろ、どんなにトンデモな内容になろうがそこに向き合ってさえいれば僕はこの最終作好きになってましたよ。あんだけ前作の最後で威勢よく恐竜を野に放ったんだから。「恐竜に支配されて人類全滅エンド」とかでも別にいいじゃないかと思ってましたよ。しかし、何が始まったかと思えば何だかよく分からんデッカいイナゴの話。なんだよイナゴ。そもそも僕、虫とか苦手で。そん中でもイナゴとかかなり嫌いな方ってのもあって、ハッキリ言って恐竜どうこうより「イナゴがキモい」っていうことしか覚えてないぐらい。なんだよイナゴまじで!で、この作品は最終的に「イナゴの騒動は沈静化しそうです」ってことと、「恐竜の保護の方法が少し変わりました」ってとこにしか落ち着かないんですよね。だから、正直言って前作の最後となんら状況としては変わらないわけですよ!あれ?街に放たれた恐竜の話は?!漁船の話は?!

「まぁ、そこはね….汲んでいただいて…」

っていうこの腐り切った性根には本当に腹が立ちました。前作であんだけイキって大風呂敷を広げたくせに、本作でやってることは「どうにかしてチンマリと物語を畳む」こと。これだけ。個人的に、ここ最近の3部作を観てて思ったのは、「これスターウォーズのシークエルに似てるな」ということで。特に「2で大胆な世界観のひっくり返しがあって、3で収集がつかなくなり何となく別の話でお茶を濁す」ってやってることほぼ一緒だろ!

あと話の展開もチンタラしてて長いです。なんでこんなに長いか?って言ったら「同窓会映画」としての側面があるからですね。グラント、サトラー、マルコムの旧キャストが再び集結。っていう話と前作からの続きであるオーウェンたちの話の2本を一本の映画に無理くり詰め込んでしまったのでそりゃ長くなります。またこの2つのラインが合流するまでがチンタラチンタラして長い….ただでさえ分量が多いんだから「グラントとサトラーがヨリを戻す」みたいなくだりはいらないだろ!しかも、これらの旧キャストの復帰も前作からのテーマ性を放棄するための「目眩し」でしかないのがまたイラッとする。

恐竜パニック描写については、かなり色んな種類の恐竜が登場してですね、「恐竜詰め放題パック」的な面白さがありました。しかし、やはり1.2作目にあった巧みなパニック演出とかは、ほぼ皆無かなと。そりゃあ相手はスピルバーグ、世界一映画の上手い監督ですから比べるのも無理があると思いますが、それにしてもねぇ....過去作のオマージュとかどこかで観たことあるシーンの連発で新鮮さは皆無。

で、これは本当に声を大にして言いたいんですけど、このシリーズの製作者たちは作品内でパークを建設した浅はかな連中と同類!ってこと。威勢よくぶち上げて結局責任取れなくなって....やってること一緒じゃないか!苦し紛れにイナゴなんか出して来やがって!ビックリしたよ!