このレビューはネタバレを含みます
音楽とかダンスとかのすばらしさはいったん置いておいて、何よりも「怒りと悲しみと憎しみは、手放さない限り、『赦し』がない限り、永遠に人を傷つけながら循環していく」んだと感じた。
アリアナ・デボースが演じるアニータがドラッグストアでジェッツ達に「I am not an American, a Puerto Rican!!!」的なことを言い放ったシーンがまさにアニータにとって強い決別の念が入っていて、こういう辛い境遇を経験した移民1世達の思いが現代の移民ルーツの人々の考え方にも少なからず残っているんだと思う(もちろん全員にとは言わない)。
アニータはベルナルドのことが大好きなだけで、白人に対しては敵対心を持っていなかったと思うし、むしろアメリカの一員としてアメリカに溶け込もうと努力していた(事実、積極的に英語を話そうとする、仕事に精を出してキラキラしていた)。そんなアニータの希望を滅多打ちにしたジェッツ達が犯した罪は本当に深い、深すぎる。
トニーが一生懸命スペイン語でマリアに自分の思いを伝えようとする姿が、本当に美しくて、愛おしくて、これこそまさに愛だし、平和に必要なこと。歩み寄ることが、他者の立場に立とうとすることが、どれだけ慈しむべきことか、人類にとって大切なことか。
あと、色使いが本当に良い。寒色系のジェッツ、暖色系のシャークス。
マリアも最初のトニーとのデートでは赤い半そでカーディガンを着てるんだけど、それ以降、着てる衣装は青色なの。最後のシーンは真っ青。最後のシーン、真っ青なワンピース着たマリアが出てきた瞬間もう私は大号泣でした。
私は赦せる人間になる。