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男はつらいよ お帰り 寅さんのditaのレビュー・感想・評価

4.0
@塚口サンサン劇場   

地元の町の映画館でお正月に寅さんの新作を観られる幸せを噛みしめながらシアター内に入ったら寅さんの歌が流れていて、「もう無理…どうしよう…」とおろおろしながら泣いていたら同伴者に「だ…大丈夫か?」と心配されたけど、同伴者は劇中嗚咽していたから引き分け。

たかだかフルマラソンを一周しただけの若輩者なので「てめぇに何がわかるんだ」って怒られるかもしれないけれど、正直言いたいことは50個くらいある。それでもやっぱり寅さんの笑顔がスクリーンに映し出された瞬間から50リットルは泣いたし、旧作の好きなシーンをたくさん観られたし、何より寅さんが「いなくなってもそこにいる」を形にしてくれてありがとうという気持ちでいっぱいになった。

父親に会いに行くのを躊躇う泉に、さくらと満男があれこれ世話を焼くシーン、寅さんもきっと同じことをしてたんだろうなぁと思った。旅に出る、別れる、命が尽きる。出会いの数だけ別れがあり、この世に生を受けた者は必ずいなくなる。それでも、寅さんのやってきたことがちゃんと受け継がれて、寅さんが「そこにいる」ことがほんとうに嬉しかった。

あとこれは完全に個人的感情なのでアレだけど、満男世代(親の老いを実感する世代)として思うところもたくさんあった。親が死ぬ前に何とか安心させてやりたい、でも自分はまだまだ不安定で、人生の決断をすることが出来なくて、でも別れは確実に近付いていて、というところの描き方が自身と重なり、実家に行くのが嫌すぎて年に一度、数時間しか親には会わないわたしが映画の後で実家へ帰った時にいつもより少しだけ親と普通に話せた気がする。まぁ滞在2時間半で帰ってきたけど。

ともあれ、寅さんは今日も日本のどこかを風の吹くまま気の向くままに旅しているからまたいつか会いましょう。お帰り寅さん!

※コメントは文句なので読まなくていいです(吐き出したいだけ)
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