ルイまる子

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのルイまる子のレビュー・感想・評価

5.0
映画界のリジェンド!スコセッシ監督最新作!
私はスコセッシ監督の大ファン!もう『ミーン・ストリート』からしびれる〜、『タクシードライバー』でもう恍惚となり年に一度は儀式として見ているし、『ケープ・フィアー』は佳作ながら忘れられないし、『ウオールストリート』も最高だったし、『沈黙』はmy best movie ever!!こんな監督は他に居ない!でも何故かアカデミー会員には嫌われてるのだ〜これだけの作品郡の割にアカデミー賞を獲っていない。『ディパーテッド』?(これに関してはアジア版オリジナルの方が良かったと思うのだが)、崇高な名作ばかりなのにアカデミーが獲れてないのは、映画界七不思議である。しかし、昨年からだったか、選出の方法が変わったので、次回からはもう少し公正に選ばれる筈なので、本作は当然ノミネートされることだろう。今回、スコセッシ+デ・ニーロ+ディカプリオ、アメリカの元やんちゃ坊主の天才三人が結集だ〜中だるみは多少あったけど、あの延々と続くドロドロの『カジノ』(デニーロ&シャロン・ストーンのドロドロ)を思い出した。いや〜良かったよ〜涙 そう言えば『沈黙』がアカデミー賞の選考に落ちた時の言い訳が「暗くて長い」だったと記憶している。

あのね…
それがスコセッシの良さなのだよ!!!わからんのかい!
あ、ご心配なく。今作は全く暗くはなくむしろユーモアも含みながら、人間の本質に迫っている。


【ネタバレあり】
何がいいって善悪がテーマの中心であること。人間の「支配関係」を描く。金の亡者、支配欲の塊のキングが、甥のディカプリオを自分の思いのままに操るのだが、このキング、デ・ニーロがとことんいい人に見えるところが怖い。普通に会社でも、学校でも、近所のおばちゃんグループでもあるあるのテーマだ。あるグループの中に居る、悪魔だがいい人に見せて命令する人と、命令されるだけの弱い人、そういう関係性ね。


アメリカ、1920年代初頭、ネイティブ・アメリカンのオーセージ族が所有する土地で石油が発見され、この部族は世界有数の富豪となる。この突然の富の獲得をオーセージ族から奪おうとする何者かによってインディアン達が次々と謎に死亡する(だが、どっから見ても殺人)。白人ビジネスマンたちの仕業なのだが、インディアンのOsage族の命の奪われ方が、まるでホロコーストの『ハンナ・アーレント』でアイヒマンが、淡々と命令に従い何も疑問を持たずユダヤ人達をガス室に送った状況と同じ様な感じだ。主人公のアーネストはインディアンの妻に毒を盛ることさえ日常になる。叔父に言われたら命令通りに、糖尿病の妻に対し、インシュリン注射の中に何かが入ってる事を知りながら注射を続ける。自分が何をしてるか頭が麻痺してたのだろうか?アホだから考える力がない上に、叔父に全ておまかせしてるので、言われたらいつの間にかやってたのだろうか。

マインドコントロールされた頭の弱い善人?をディカプリオが演じているが、受け口でマヌケな顔つきとかめっちゃ上手い。ずっと口元あの志村けんみたいな受け口。彼の素顔はあんな受け口じゃなかった筈だが笑 愛国心の強い負傷兵で優しい人なのだが、悲しいかな自分で考えることが出来なくなってしまっている(いや、日本のサラリーマンにもあるあるか)。また、老体に鞭打ち出演した、キング、デ・ニーロも上手過ぎて涙が出た。お二人がスクリーンに出てきた時は正座しなきゃ!と慌てて姿勢を正したよ。更に、高音の声に特徴ある、スコセッシ監督ご自身が登場!涙!!


あ、忘れるところだった。部族の女性〜デカいインディアンの奥さんモーリー、目が澄んでいて知的で素敵だった。デカプリオが最初の方に自分は白も青も赤も何色の女性も行ける、またデカい女性も行けますって言ってたけど、矢張り「デブ専」だったのかな。二人はとってもお似合いに見えましたね笑 タイトルバックの無音、嵐の音、風の音、最後までしびれる〜いやいや良い映画でした!特に50歳以上は全員みるべし!ですね、今までお世話になってきたんだし、スコセッシ、デニーロ、ディカプリオ様は私達にとってはもうジュリアス・シーザーレベルですな。Gotta see it!
ルイまる子

ルイまる子