こなつ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのこなつのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカの先住民オセージ族の居住地で実際に起きた連続殺人事件を題材にした巨匠マーティン・スコセッシ監督作品。

1920年代アメリカのオクラホマ州。石油の発掘によって莫大な富を手に入れたオセージ族の財産を奪おうと殺人に手を染めた白人達の姿を描いている。

帰還兵のアーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)は、牧場主として地元の有力者である叔父のウィルアム・ヘイル(ロバート・デニーロ)を頼ってオクラホマにやって来た。アーネストは、車の運転手をしていて知り合った先住民モリー・カイル(リリー・グラッドストーン)と恋に落ち、結婚する。しかし、叔父のヘイルの石油利権を手に入れるための企てに唆され、アーネスト自身もまた悪に手を染めていってしまう。

表向きは、善良そうで穏やかに見える叔父のヘイルだが、「インディアンの死は犬の命より軽い」とばかりに、モリー家の人々に留まらず、次から次へと殺人を犯していく残忍さ。頭が良くない上に思慮のかけらもないアスリートは、まんまと乗せられていく。

ミステリー調だった原作を大きく変更して、アーネストとモリーというひと組の夫婦を中心に描いている。元々ディカプリオは捜査官の役だったらしいが、脚本変更によりアーネスト役をすることになったらしい。彼が演じることによってアーネストに焦点を当てている脚本はなかなか面白かった。悪魔のような策略を立てる叔父と愛する妻モリーとの間で揺れ動くアーネストの姿。捜査に乗り出すFBIのトップにあのジョウ・エドガー・フーヴァーの名前が上がっていたが、この事件解決以降FBIの力が絶大なものになっていったのは言うまでもないだろう。

モリー役のリリー・グラッドストーンが素晴らしい。落ち着いた佇まいと存在感。先住民出身という彼女の演技に終始心奪われる。

スコセッシ監督のカメオ出演もあって最後まで楽しめたが、やはり206分は長い。
東京国際映画祭の会場を覗きに行って、屋外上映会があまりに寒くて同じ会場内の劇場で上映されていたので思わず鑑賞。

長尺に耐えられなくなったらすぐ出れるように出口付近の席を取ったが、左右の壁から壁、一面に広がったスクリーンの観易さと快適な椅子のお陰で予想以上に長く感じなかった。やはり、新しい劇場は最新のシステムで素晴らしい。
こなつ

こなつ