Ichiro

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのIchiroのレビュー・感想・評価

4.6
<感想>
エンドロールが流れ終わり、しばらくその場を立ち上がれなかった。
というのも、全編にわたる緊迫感、内容の濃さ、そしてこれ程話を盛り込んでいるにも関わらず実話であること、そのような要素全てが完璧に映し出されていたため、約4時間という考えられない上映時間があっという間に感じた。
全体的には淡々と進み、物語も非常に暗い内容であるが、1カットごとに全く無駄なシーンもなく、1秒たりとも目が離せないように感じた。

個人的には原作を少し読んでいたのでストーリー自体は頭に入りやすかったが、登場人物が非常に多く、さらに丁寧かつ繊細に描かれているため、ストーリーの前後関係を整理することが少々大変である。
また1番驚くべきことは、原作と描いている内容と本作は大きく異なっていた。
原作では本殺人事件を追う「トム・ホワイト」を主人公としたミステリーであるが、オセージ族側かつ本作品の黒幕的存在である「アーネスト」と「ヘイル」からのカットで描いていることだ。

原作とストーリーも全く異なるため、原作ファンでも飽きない内容となっているはずだ。



<総括>
まさに完璧な作品、マーティン・スコセッシ監督の集大成とも言えるだろう。
作品の内容以上に印象深いのは、物語の黒幕である「ヘイル」役のロバート・デニーロの怪演、そしてオセージ族唯一無二の存在である「モリー」役のリリー・グラッドストーンの圧倒的存在感。
本作はアカデミー賞作品賞筆頭と呼ばれているが、個人的には主演女優賞、助演男優賞がほとんど確実に獲れるほど、圧巻の演技力であったことが印象的である。
Ichiro

Ichiro