DK

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのDKのレビュー・感想・評価

4.0
3時間をゆうに超えるスコセッシ監督の大作。観ている方もそれなりの胆力が必要になる。それに膀胱のキャパも。
オクラホマの景色の切り取り方や光の印象的な使い方は素晴らしい。

おはなしはネイティブ・アメリカン、いわゆるインディアンのオセージ族が19世紀のはじめに白人から被る事件のお話。といってもインディアンの権利や法的な保護のフレームができた後のお話。与えられた土地から石油が産出されることから、私は全く知りませんでしたが、制度を悪用しインディアンのガーディアンのような顔をしながら実はとてつもない搾取が行われていた実態を描く。スコセッシ監督の作品はいつも向き合わないといけない人間の暗部にスポットライトがあたっていて必ず何か重たいものが残るので、こちらも受け止める心の準備が必要だなとおもうのです。
今回気になったのはディカプリオが射止めたオセージ族の奥様の紹介テロップに無能力者と書かれていてこれはなんだろうと思ってたので調べてみたら、当時のアメリカではネイティブアメリカンは世間知らずで無知だから得た富を失わないように白人が保護すると言う考え方のもと、法整備がされていた。無能力者とされるオセージ族は自己の資産を後見人として任命される白人に合法的に奪われる。合法的と言うのは法的な枠組みがあると言う意味で、その収奪可能な要件を満たすためにヘイルをはじめとしたガーディアン面した白人がやりたい放題、与えては奪う。
ふとスリランカの港が借金のかたに中国に乗っ取られたことを思い出した。人間の素晴らしさと暗部を毎度正視させられる数時間。

ディカプリオとデニーロを堪能するのには最適な映画でした。とっつきにくいテーマをドキュメンタリーではなくギリギリエンタメ枠で伝えてくれる、スコセッシ監督の次の作品も楽しみです。
欲を言えば2時間、いや2時間半に収めて欲しいですが。
DK

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