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宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第七章 新星篇<最終章>のtakのレビュー・感想・評価

4.0
なるほど。こういう結末に持っていくとはね。オリジナル「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」へのリスペクトは十分に示しつつも、かつてのテレビシリーズ「ヤマト2」や「完結編」に通ずる希望あるラスト。感想は人それぞれあるだろうけど、悲壮感で観客を泣かせるだけに終わらせないのは好感。

オリジナルの「さらば」は、誰かのために行動することの尊さを、これ以上ない形で示してくれた。そのテイストはそのままに、「2202」では散りゆく者それぞれの思いが明確に描かれるから胸を打つ。泣かないぞーと思ってスクリーンに向かったが、斉藤始や加藤三郎の最期にはさすがに涙を誘われる。斉藤の「俺の嫁が言うことは聞いとけ!」のひと言にはシビれた。そしてクライマックスの「森雪が一緒にいるから!」で涙腺崩壊。あー、この感想書いててまた泣けてきたww。

オリジナルにはなかったガトランティス側の重厚なドラマも、この第7章の大きな魅力。一方でデスラー総統は背負わされたものがあまりに大きいせいか、出番が少なめなのがやや残念。

羽原信義監督は「蒼穹のファフナー」が代表作。回が進むにつれて、こっちの気持ちがどんどん暗くなる作品だった。それがあの「さらば宇宙戦艦ヤマト」のリブートを手がけるというから、途方もなく悲惨な話になるのではと思っていた。「2202」が始まった時は、こっちの気持ちが最後までついていけるかが何よりも心配だった。オリジナル「さらば」が製作された時代は、「ガンダム」以前の"アニメは勧善懲悪"が当たり前だった時代。敵側の理屈や掲げる正義が詳しく描かれることはなかった。ガトランティス側のドラマ、ガミラス側のドラマがより鮮明になった分だけ、最後はあのズウォーダーまでもが、血の通った"人"として描かれる。それは福井晴敏の巧さであるのは言うまでもない。続編決定との報が届いたが、今度はどんな心の準備をして臨めばいいのだろ。楽しみである。
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