ふじこ

幸せへのまわり道のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

再視聴。
最初にミニチュアの街が出た瞬間 観たわ!と思ったけれど、特に感想を書いてなかったので。

長年父親と上手く行っていなかったが姉の結婚式で久し振りに父親と再開。
しかし彼が母の事を口にし掛けた事に怒って父を殴り、姉の夫を突き飛ばしたところで別の男性に殴られて顔を負傷。
後日会いに来た父親にも、待ち伏せするなと言って追い返す。

そして上司から命じられた、国民的ヒーローを取材する特集を任され、冒頭から差し込まれる子供番組の司会者であるミスター・ロジャースへ取材に行くようにと言われる。
本業は調査報道の記者だったけれども書いた記事を取材対象本人が読むと気分を害するらしく、反発するものの上司命令として受ける事に。

ロジャースが語るアンガーコントロールや子供たちの話、親の話を聞きながら、振り解いて家から追い出した父親が外に止めた車の中でずっと待っているのを様子見したり、夜中に窓から覗いていなくなっているのを観て何かを考えるような顔をしたり。
自分と父の関係、そして自分の気持ちと向き合っていくようになる。


ロジャーとの対話なんかを通じて、病気の母親を捨てた父をずっと憎んでおり、母親の為にもう何十年も怒り続けていたのだと認識し、夢の中で母に感謝と、でももうそんな必要はないのだと諭される。
子供の時のトラウマって根深いよね…。同じく病床の母を看取った姉はなんとか折り合いをつけて、年を取った父親の変化を受け入れて関係を築こうとしていたけれど、誰もがそれを出来る訳じゃないし、苦しみ抜いて死んだ母を想って父を憎む気持ちは全く間違ってはいないんだけど。
でもそうし続ける事の苦しさも間違いなくあって。
歩み寄る事が出来て、父を許す事が出来て、自分の中の怒りや恐れをハッキリ確かめる事が出来て、良かったなぁってなる映画。

実在のミスターロジャースの事は何一つ知らないし、だからどうしてこの人をモチーフにこの話なのかも分からないんだけど、単純にええ話やなぁってスッと入ってくる良さがある。深く感傷的になったり感情移入する訳じゃないんだけど、物語的な良さが。
なかなか良い作品。
ふじこ

ふじこ