汚職警官と麻薬売人の日常と顛末。
あらすじも読んでいない状態で鑑賞。映画は前情報がなければないほど、良い作品に出会ったときの感動は大きい。ので、そのまま観たけれど、相変わらずの日本版パッケージのせいで(それだけはどうしても目に入ってしまうよね)、正義漢溢れる刑事と特殊部隊が犯罪と戦う、的な感じかとアクション映画かと思っていたので、最近はブラジル映画を連続して観ていたため、間に違う系統を入れようと思っていたのに、今作もドキュメントタッチ。フィリピン映画は覚えているかぎり初めてだったので、珍しいなぁ、と思ったけれど、麻薬戦争関連だったので、今は食傷気味でした。映画の系統を変えたいときは、あらすじくらい読まないと駄目かな。
しかし、マイブームのブラジル映画も、ハリウッドも今作のフィリピンも、麻薬戦争はどきついですね。日本でも他人事ではないし、ちょい前なら脱法ドラッグや、ラムネみたいなやつ(お菓子だと騙す系)や、もっと前なら覚醒剤がある。日本での頭をしっかりして働くために覚醒剤とか狂喜の沙汰が蔓延していた(ちゃんと寝られる時間が取れない労働環境が大問題だが、未だに解決してませんねえ)。で、今作のフィリピンも覚醒剤と字幕だったので、麻薬の種類で国民性やその国の社会情勢も反映されている辺りが興味深い。
フィリピンの現大統領が麻薬撲滅派なのでだろう、それが作中でも物凄くあり、あちらこちらで持ち物検査があったりと、他国の映画を観ることですべてそのまま描写されているわけではないが、その空気がひしひしと伝わってくる。どんどんフィリピン映画も観てみたいと思えた。
ただどこの国でもそうだけれど、麻薬の末端売人や常習者は大抵が貧困問題であり、根っこが何らかの理由で仕事が得られないし、お金がないから犯罪でしか食べ物が得られないというのが、万国共通な描写ですね。いろいろな国(日本も例外ではなく)のそうした貧困を見ていると、貧困の根本を見なければな、と思えてくる。最近はそうした「貧困とは」という学術書の翻訳も進んでいるので、そろそろそれらも読んでいこうかな。
今作は映画として良かったけれど、同系統の映画を連続するのは疲れるので、ちょいと違う映画を挟んでいこうかな。