にしやん

空の瞳とカタツムリのにしやんのレビュー・感想・評価

空の瞳とカタツムリ(2018年製作の映画)
3.7
男とならだれとでも寝る女と潔癖症で男性経験があれへん女、この二人を中心に繰り広げられる愛と喪失の話や。
女性二人セリフが終始ぎこちない。観念的というか文学的や。一部「ここ描けてへん」「これはないわ」っていうとこもあるけど、日常とはちょっとずれてるフィクションっぽさとか、重苦しいテーマの割につかみどころのないフワフワした感じも観てて中々心地よかったわ。
テーマは肉体と気持ちとの分裂と言うんか、それとも擦れ違いと言うんか。二人の女性はまさしく対極に位置してる、図式的過ぎるんはどうかなと思う面はあるけど、人間の中にある二つの側面を二人の対極的の人物に置き換えることによって表現してるんやと思う。ひょっとしたら2人で1人かもしれん。多重人格的なもんかも。
映画で語られる「カタツムリ」のエピソードは正直知らんかった。求めることでなんかが損なわれるっちゅう意味での象徴やってんな。女二人と男二人、彼らは互いに欠けているもんを無意識に求めあってんねんけど、それがいっこもうまいこといかへんねん。肉体をえたら気持ちが無うなってまう。肉体と気持ちの両方が手に入らへんねん。好きな人の肉体と気持ちのどっちかしか手に入らへんかったとしたら、その時はいったい何を求めたらええんやろか?それと、もし仮に肉体と気持ちと与える相手が別々やったとしたら、この悲しみって何なんやろか?っちゅう問いかけなんかな。
映画自体についてやけど、もうちょっとここはこうしたほうが良かったんちゃうという点もいくつか。まず学生時代からの三人の元の関係性の描写が皆無なのがあかん。そこがないと関係性がどういうふうに変化していったんかがいまいち分からん。それと男性のセリフ言葉が全般的にええことないわ。「えー」っていうんが何べんかあったわ。それと最後のほうの2人の独白、あれは余計。説明すんなって。興ざめやわ。
それにしても、あの映画館はええ味出してたな。あんなとこまだ残ってんねんな。凄いわ。いっぺん行きたなったわ。
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