主人公ペドロは妻と息子と共に滞在型リゾートホテル｢エバーフィールド｣でのバカンスにやって来る。
しかし手違いにより別の一家と部屋を共有しなくてはならなくなった事を切っ掛けに不条理な世界に巻き込まれて行く。
『パラサイト』『ファニーゲーム』『アス』等見知らぬ他人がズカズカ入り込んで来て平穏な一家を破壊していく。
ただ本作は主人公の旦那以外妻も子供もこの図々しい他人一家と何故か直ぐに意気投合して仲良くなってしまい旦那だけが除け者になり基本酷い目に合うのが旦那だけで本来味方である筈の家族が不条理な事態に巻き込まれている事に全く気づかないのが恐怖。
もう1人の主人公とも言えるホテル従業員アンドレスもまた、この巨大ホテルの被害者であり幻覚に悩まされ精神を病んでいる。
フラミンゴの幻覚や業務用大型洗濯機から血と臓物の様に吐き出される洗濯液と洗濯物。
自己啓発セミナーの様な社員教育や同じ従業員の妻がどんどん｢ホテル｣側に行ってしまう恐怖。
自分はかなり昔ですが目黒〇〇〇で働いていて、リゾートタイプ大型ホテルってあんな感じだったなーとアンドレスに感情移入してしまう。
それと本社から来たマネージャーの行うカルト宗教みたいな洗脳教育、｢夢｣だの｢目標｣だの｢実現｣だの抽象的な言葉で社員を洗脳して更に客を勧誘し会員にし仲間を増やさせ、どんどん搾取して自分達の奴隷を増やして行く。
要は〇〇学会や日本〇〇〇ェ〇と同じ。
因みにそう云えば目黒〇〇〇と併設されているテナントビルには日本〇〇〇ェ〇が入ってた。
巨大建造物に揃いの派手な制服(数種)に、スローガンを掲げた洗脳紛いの社員教育や集会。
このホテルがひとつのカルト宗教、社会主義国家にも見える。
でもここまで酷くなくても大型ショッピングセンターの社員教育ってこんな感じ。
自分の住む中部地方は近年IKEAやCostco等が出店が相次いでいて開店の裏側みたいな特集をテレビをやってましたが揃い制服に巨大建造物、｢目標｣だの｢夢｣だののスローガンを掲げた大勢の社員達の集会等あんな感じ(笑)
この｢エバーフィールド｣というリゾートホテル企業は、会員を集めて洗脳し企業に奉仕する奴隷を増やす、即ち利益を上げる事が目的でそれ以外には特に目的はなさそう。
なので『アンダーザシルバーレイク』もそうだったけど、もうひとつ最後に飛んでもない結末とかもうひと盛り上がり欲しかった。
ホフマン監督は『アンダーザシルバーレイク』のミッチェル監督や『アス』のピール監督等と並んでデヴィッド・リンチの系譜？というか不条理な、カフカ的とも言える世界を描く監督さんで要注目です。
傑作と噂の前作のゾンビ物『ハレー』を早く見たいです。
