カカポ

ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒のカカポのレビュー・感想・評価

3.0
スタジオライカの新作ということで楽しみにしていた一作!前作「KUBO」に引き続き、ぬるぬる動くストップモーションアニメが大変楽しい作品でした。

KUBOの折り紙の時もそうだったけど、ライカのストップモーションアニメって"素材感"みたいなのがめちゃ面白くて、靴が踏みしめる泥のネッチョリ感であったり、水の流れであったり、主人公の服のツイード感であったりと細かいリアルさの追求がハンパないのよ。それがCG背景と組み合わさることで、アニメーションの醍醐味である「世界丸ごと作ってます!」感みたいなのを存分に味わえる。"地球丸ごと大冒険!"ってテーマと非常に食い合わせのいい作家性を持ったスタジオだな〜と思った。

特に船の中の追いかけっこは本当に見事!「インセプション」のオマージュ?ってくらい無重力感たっぷりにグルグル回る舞台の中でやるドンパチ、これ観るためだけでも1900円の価値あるわ!!!!ストップモーション(なのか知らんけど)すげ〜!おもしれ〜!!!

という感じで、画に関してだけ言えば本当に面白いんだけどそっちに引っ張られすぎたのか物語が上滑りしてる感じは惜しかったな。場面を動かすためだけに登場人物が動かされている感じがしてイマイチどのキャラにも一貫性がないというか…

新文明を求めるサーライオネルvs.旧文明に固執するヴィランというシンプルな形ならまだ納得しやすかったのかもだけど、主人公であるサーライオネルが旧文明側に寄っていこうとするから混乱しちゃうんだろうな。
彼が自己中心的になったり良い人になったり、新文明を求める割に旧文明に固執したりとクルクル豹変するので、最後にどう成長してどう変化したのか掴みづらい。ヴィランも「新文明を拒絶する」という面白い設定を持ちながら一貫して主人公チームを妨害するだけの存在としてしか描かれておらず物足りない感じがした。

「マイノリティ&女性・プリミティブ・調和」vs「男性・アーバン・支配的」と全体的に欲張りセットな感じだったけど、もう少しシンプルな話にした方が、むしろ深みが増したのではないかな〜
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