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スリー・ジャスティス 孤高のアウトロー/ビリー・ザ・キッド 孤高のアウトローのJIZEのレビュー・感想・評価

3.5
父親を射殺し追われる身となった姉弟をめぐって周囲の人間が繰り広げる闘いが描かれる。ウエスタンもの。デハーンのほぼ独壇場で、圧勝。デイン・デハーンの待望の最新作で、『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛(2018年)』以来の本格的な長編作品となる。またアメリカ西部をさまよう伝説のアウトロー"ビリー・ザ・キッド"という今回の役柄は、彼自身の内に秘めた闘志や、冷静でありながらときおり魅せる激情を体現するうえで凄まじくビリーの役柄と同化している。ストーリーの骨格は、イーサン・ホーク演じる保安官とビリーのパートをこうごに並走させるような動向を追う造りで、比較的シリアスな手触りで寡黙に進行する。終盤でビリーと保安官が夜間で対峙する一幕は息を呑む緊張感がある。クリス・プラット演じる大元の悪役もホークとのやりとりは『マグニフィセント・セブン(2017年)』を彷彿。全体的にビリーの人物像を前半は主軸に置きつつ、姉を救出する少年の成長のほうが後半ではメインにあり、ビリーの逮捕劇に不随する正義とは、悪とは、を再考させる。
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