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ザ・ライダーのkurageのレビュー・感想・評価

ザ・ライダー(2017年製作の映画)
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『ノマドランド』の監督、クロエ・ジャオの作品。Netflixでの配信が明日で終わりということで慌てて視聴した。

傷のある主人公ブレイディのシャワーシーンで、アメリカ西部に生きるカウボーイの暮らしにのっけから引き込まれていく。
ハンサムなのは置いといたとしても、主人公の顔つきがとてもよい。演技とは思えないくらいの馬との一体感に、素晴らしい役の作り込みと演出だと見惚れていたら、なんとロデオライダーであるブレイディご本人の実話をそのままドキュメンタリーとフィクションを織り交ぜて撮影しているとか。
やはり、本物に叶うものはない。

ブレイディの体に刻まれた星のタトゥー、妹がブレイディが寝ている間に体に貼った金色の星シール、そしてアポロという名の希望を託した馬との時間。
主人公には挫折が何度もやってくる。その都度、障害者となった兄貴分のレインや自閉症の妹に救われる。彼らとのやりとりが主人公が軸に戻るのにとても利いている。

次の怪我が命にかかわるとしても、馬に乗ることはやめられない。カウボーイとして、ライダーとして生きてきた人間の挫折と救済の物語に、静かに心打たれた。
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