たぬき

ホテル・ムンバイのたぬきのレビュー・感想・評価

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)
4.5
ホテル従業員たちの活躍!というよりは、実行犯の男の子達に目がいってしまいました。それくらい衝撃的な殺戮シーンです。
久しぶりに疲れる映画を観ました…(悪い意味ではないです)。電話越しの"兄弟"の気味の悪さといったら……
被害者たちの逃げ惑う様子だけでなく、犯人の方にも感情移入してしてしまい、最後にはなんとも言えない遣る瀬無い気持ちだけが残ります。
どうして彼らはこうなってしまったんだろう…日本でぬくぬく暮らしている自分には分からない部分も多いですが、分からないなりに歩み寄ってみるところから解決策が出てくるのかなとも思ったり。

以下ちょっとネタバレかもしれませんが…
実行犯の男の子たちは英語も全く話せず、ということはあまり高等な教育を受ける機会がなく、貧困の只中にいたところをテロ組織に拾われたと考えられます。彼らの貧困には、確かに彼らの主張するように英米の帝国主義支配や、信仰する宗教による差別が関係しているのかもしれません。
とにかくイスラームの教えがテロを起こすだとかナンセンスなものではなく、宗教は少年たちのコントロールに利用されただけであって、経済的・政治的理由が起因して起こった事件だったと思いました。
だからといってこのような手段に訴えかけることは決定的に間違っていますが、ただの気の狂った宗教のせいだ、というよりは彼らを駆り立てたものはもっと重層的な原因があると、この映画は教えてくれます。
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